2025年7月30日(水)、東京・秋葉原駅近くの高架下にあるキャンプ体験施設「campass」にて、キャンピングカー業界で初めてフェーズフリー認証を取得した「EXPEDITION STRIKER(エクスペディション ストライカー)」の発表会が開催されました。CARPRIMEも現地取材に行ってきました。フェーズフリー認証とは?EXPEDITION STRIKERとはどんなキャンピングカーなのでしょうか?

会場は秋葉原 線路下でキャンプができる!?

campass
(画像=「Car Me」より引用)

秋葉原近くのJR線高架下スペースでキャンプ体験ができるcampass。今回の発表会はアウトドアらしくこちらの施設で行われました。高架下なので直射日光はなく屋外でも比較的快適。Coleman製のアウトドアチェアに座り入口でいただいたカップドリンクを片手に取材。となんだかキャンプに来た気分になりました。

「近年の自然災害にも貢献できるクルマを目指した」──NTBの想い

今回発表されたEXPEDITION STRIKERは、日本特種ボディー株式会社(NTB)が架装を施し販売するキャンピングカー。

ベースとなるのは、いすゞ自動車がAT限定普通自動車運転免許対応のキャンピングカー専用シャシとして開発したTravioだ。AT限定しかも普通免許で運転ができるだけあって、運転が苦手な方でも比較的とりまわしがしやすく安心して運転ができるという。

実際サイズをみてもEXPEDITION STRIKERは全長4955mm、全幅1800mm、全高3000mm。ジャンルは全く違うがメルセデス・ベンツの電気自動車EQEが全長4955mm、全幅1905mm、全高1495mmということなので、高さにさえ気をつければ運転に四苦八苦することはなさそうである。

フェーズフリー認証とは?

フェーズフリー認証
(画像=「Car Me」より引用)

そして今回、EXPEDITION STRIKERが注目されている理由の一つがキャンピングカーとして初めてフェーズフリー認証を取得したということである。

フェーズフリー認証とは一般社団法人フェーズフリー協会が定める、「日常」と「非常時(災害)」というフェーズ(段階)の区別をなくし、いつもの暮らしの中で備えを活かすという新しい防災の考え方を取り入れた製品に与えられる認証で「日常に溶け込んだ備えない防災」がテーマとなる。

EXPEDITION STRIKERがフェーズフリー認証を取得した理由は?

EXPEDITIONSTRIKER
(画像=「Car Me」より引用)

その点で、キャンピングカーは日常ではアウトドアを楽しむギアとして、非常時には避難・待機・救援での活用が期待できフェーズフリー思考を体現した車両であると言える。
では、多くのキャンピングカーがある中で、EXPEDITION STRIKERが初めてフェーズフリー認証を取得した理由はなんなのだろうか?

たくさんの要素があるが中で、大きなアドバンテージとなったのは、、、と答えてくれたのは、一般社団法人フェーズフリー協会代表理事の佐藤唯行氏。

EXPEDITION STRIKERは、AT免許で誰でも運転ができる手軽さ、運転席から居住空間がつながっており同乗者が一目で見渡せる室内レイアウト、Travioと日本特種ボディーの技術による居住性・走破性・オフグリッド性などが評価され認証に至ったようだ。

日本特種ボディー株式会社の蜂谷愼吾社長も「これまでユーザーの気持ちに応えるキャンピングカーを作り続けてきた中で、近年の自然災害にも貢献できるクルマを目指した」とEXPEDITION STRIKER開発を振り返りました。

EXPEDITION STRIKERの実車をチェック

諸元データ

駆動方式 2WD
ミッション 6速AT
最大出力 / 最大トルク 88kW(120PS) / 320N・m(32.6kgf・m)
燃費(架装前状態) 13.6km/L(JC08モード) / 10.8km/L(WLTCモード)
燃料 ディーゼル
寸法 全長4,955mm/全幅1,800mm(スペアタイヤ装着時5,065mm)/全高3,000mm
最小回転半径 4.4m
車両重量 シンプル電装モデル:2,565kg / スタンダード電装モデル;2,635kg
車両総重量(定員乗車時) シンプル電装モデル:2,950kg / スタンダード電装モデル;3,020kg
定員乗車時の正規最可能重量 シンプル電装モデル:540kg / スタンダード電装モデル;470kg
乗員・就寝定員 乗車7名/就寝6名
安全装備 プリクラッシュブレーキ・車線逸脱警報・ふらつき警報・誤発進抑制機能・先行車発進お知らせ機能・車間距離警報・交差点警報
車両情報監視システム プレイズム(メンテナンス情報・いたわり運転度・車の不調をいすゞに共有・お問い合わせ・いすゞサービス工場検索・DPD不調・AdBlue残量・バッテリー電圧・エンジンオイル交換までの残距離・エンジン故障)
標準装備(シンプル電装モデル) エコフロー走行充電器・AC/DCコンバーター
標準装備(スタンダード電装モデル) サブバッテリー(鉛蓄電池)・走行充電器
標準装備(共通) 常時後方表示モニター・キーレスライド・カーペットマット・エントランスドア・バゲッジドア・アクリル二重窓・ハイマウントストップランプ・AC100V外部入力コネクター・家庭用エアコン・電子レンジ・冷蔵庫・室内AC100Vコンセント・ダイネット換気扇・清水タンク/排水タンク・ガラス蓋つきシンク・ダイネットテーブル
オプション装備(シンプル電装モデル) エコフロー製ポータブルバッテリー各種・ソーラーパネル
オプション装備(スタンダード電装モデル) ソーラーパネル・リチウムイオン電池・1500Wインバーター・AC100V外部出力コンセント・バッテリー電圧計(鉛電池用)・バッテリー残量計(リチウム用)
オプション装備(共通) サイドオーニング・センサー付エントランスLEDポーチライト・サラウンドアイ・マックスファン・AC100V外部入力コネクター・カーナビ(楽ナビ)・ETC2.0車載器・ナビサブ配線・前後ドライブレコーダー・FFヒーター・テレビ・ドアバイザー・カーテン・非常用備品

EXPEDITION STRIKERの秘密

  1. シェル部分がオールアルミ製
    キャンピングカーとしては日本初で高強度と軽量化を実現した。

  2. キャブ部とシェル部をあえて結合していない
    結合部にゴムパーツを用いることでシャシのねじれを最大限活かし、タイヤの接地性を向上、走破性を高めている。

EXPEDITION STRIKERの魅力

  1. 高い走行性能
    運転席と居住部の接続部が「ねじれる」設計により、タイヤが浮きにくく、悪路でも安定走行が可能。もちろん、日常使用でも快適な乗り心地を実現している。
  2. 電力の自給・供給能力
    オプションでソーラーパネルとリチウムイオン電池を搭載することで、キャンピングカー内での電力使用はもちろん、周囲への給電も可能。停電時の電源供給拠点としても期待される。
  3. 扱いやすいベース
    ベースはいすゞ自動車「Travio」。AT仕様&普通免許で運転可能なため、キャンピングカービギナーや運転に不安がある人でも安心して乗ることができる。

フェーズフリー認証を取得する製品の数々

EXPEDITION STRIKER発表会の会場では、フェーズフリー認証を取得した様々な製品もブースをだして紹介されていました。その中でもCARPRIMEは注目した2社を紹介します。

エース株式会社

エース株式会社は、旅行バッグやスーツケース、ビジネスバッグなどの製造販売を手掛ける1940年創業の老舗メーカーです。現在でも、トップシェアを誇り国内外で広く支持されています。

そんなエース株式会社の製品でフェーズフリー認証を取得したのが「ace. テオフィールド」。カラーはブラック、オリーブドラブ、サファリベージュ、レイクブルーの4色。サイズが機内持ち込みサイズの32L/64L/95Lの3サイズを展開している。

特徴としては、60Φの双輪キャスターで通常よりも大きいため、砂利道や段差などにも強い。

EcoFlow Technology Japan株式会社

EcoFlow Technology Japan株式会社は、ポータブル電源をメインに販売されるメーカーで、防災製品等推奨品も取得。防災分野でも有益な活用が可能な製品として認められている。また、世界基準の安全規格を取得し、2〜5年の長期製品保証・サポート体制で購入後も安心そして安全に利用することができる製品を販売しています。

今回、会場で展示されていたのは、フェーズフリー認証を取得している「DELTA 3 1500」、「DELTA 3 Plus」「RIVER 3 Plus」の3機種とEXPEDITION STRIKERに搭載されていた「DELTA Pro3」の4機種。

スペックはそれぞれ以下のようになっていた。


DELTA Pro 3DELTA 3 1500DELTA 3 PlusRIVER 3 Plus
容量4,096Wh1,536Wh1,024Wh286Wh
AC出力最大5,100W最大2,000W最大2,000W最大900W
ポート数13口15口13口7口
AC充電時間(0%→100%)3.3時間90分56分60分
重量約51.5kg約16.5kg約12.5kg約4.7kg

担当者にお話しを伺うと、ポータブル電源は容量により大きさや重量が異なるので、使用シーンに併せた選び方が重要だと言う。今回、展示されている製品だと、日帰りキャンプの場合は「RIVER 3 Plus」。1泊2日であれば「DELTA 3 1500」、「DELTA 3 Plus」がおすすめだと話した。

日常に溶け込んだ備えない防災としては最上級のギア

EXPEDITIONSTRIKER発表会
(画像=「Car Me」より引用)

EXPEDITION STRIKERは、普通免許で運転できるのならば室内は狭いのかな?と思ったが、そんなことはなく4名程度が過ごすのであれば十分な広さと質感を持っていた。モノトーン基調でシックな内装は自宅のように居心地が良く、蜂谷社長も自信のあるポイントであると紹介してくださいました。

個人での所有はもちろん、法人で従業員への福利厚生や移動事務所などどんなシーンにもマッチしつつ、非常時には避難・待機・救援に役立つ一台。価格は、スタンダード電装モデルが 9,947,771円(税込)となっている。

近頃、頻発しているように感じる災害に備えずして備える最上級の選択肢ではないかと思う。