日経平均株価は8月半ば、昨年7月以来の最高値を更新し、初の4万3000円台に乗せた。月末終値は4万2718円と月間で1648円上昇した。株式市場が活況を呈する中、物言う株主(アクティビスト)の動静はどうだったのか。

オアシス、芝浦機械を新規保有

香港投資ファンドのオアシス・マネジメントは8月22日、芝浦機械の株式5.23%を新規保有したとする大量保有報告書(5%ルール)を関東財務局に提出した。保有目的は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」としている。

オアシスは物言う株主として日本企業が最も警戒するファンド。取締役の選解任やガバナンス改善などを求める株主提案で知られる。7月にはカシオ計算機の株式を5.19%保有したことが明らかになったが、8月中、同社株式の買い増しなどの動きは見られなかった。

芝浦機械で思い出されるのは2020年、社名変更前の東芝機械時代に繰り広げられた旧村上ファンド系投資会社との攻防戦だ。旧村上系は東芝機械株式の買い増しを目的に敵対的TOB(株式公開買い付け)を開始。東芝機械は買収防衛策で対抗し、旧村上系のTOBを撤回に追い込んだ。

旧村上系、三井松島株式を大量売却

その旧村上系の投資会社の一つ、シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)は三井松島ホールディングス株式の保有割合を38.18%(共同保有者との合計)から13.25%に減らした。三井松島HDが実施した自己株取得に応じて保有株式を売却したためだ。

旧村上系による三井松島HD株式の保有は2024年4月に提出された大量保有報告書で判明し、買い増しが続いていた。

三井松島HD株式についてはシンガポール投資ファンドの3Dインベストメント・パートナーズが1%を買い増して保有割合を10.14%に高めた。

米レンジリー、近畿車輛など2銘柄に触手

“初お目見え”の形となったのは米投資ファンドのレンジリー・キャピタルだ。これまで大量保有報告書の提出は見当たらず、本格的な日本株投資の第一歩とみられる。

レンジリーによる5%超の新規保有が明らかになったのは近畿車輛、ゲームカード・ジョイコホールディングスの2社。いずれも保有目的は「投資および状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為を行うこと」としている。

近畿車輛は鉄道車両製造、ゲームカード・ジョイコHDはパチンコホール向けプリペイドカードシステムの開発などを手がけ、両社とも東証スタンダード市場に上場する。

同じく米投資ファンドのバリューアクト・キャピタル・マネジメントは宝ホールディングス株式の9.84%を新規保有した。報告発生義務が生じる5%を大きく上回り、いきなり10%に迫った。

バリューアクトは7月もマネーフォワード株式の5.62%を新規保有したことが分かっている。バリューアクトはオリンパスやセブン&アイ・ホールディングスの大株主として経営改革を迫ったことで知られる。