
総括
FX「トランプ大統領の通信簿は金価格。上がれば✖、下がれば〇」
ドル円=148-153、ユーロ円=173-178、ユーロドル=1.14-1.19
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨7位(7位)、株価8位(13位)、円高基調だが外貨投信増がそれを抑制)
(ベッセント財務長官発言→トランプ大統領発言でドル円下落から戻す)
ベッセント財務長官は「日本銀行が適切な金融政策をとれば、円は適正な水準を取り戻す」と発言し150円を割れる円高に振れたが、週末にトランプ大統領が中国との関税戦争激化からの緩和を示唆し再び150円に乗せて週を終えた。
(円は今月はここまで最下位)
円は今月はここまで最下位だ。米国の政府閉鎖でリスク回避の円買いも出たが、高市首相誕生の可能性もありリスク選好の円売りが勝っている。年初来では7位で米ドルの11位を上回り、対ドルでは円高が進んでいる。日経平均は年初来19.27%高。10年国債利回りは1.631%。
(日銀の姿勢は)
植田日銀総裁は、世界経済は「底堅さを見せている」ものの、その底堅さの一因は関税の影響がまだ出ていないことによるもので、今後出てくる可能性のある関税影響を「見通しに織り込んだり、下方リスクとして織り込まざるを得ないというのが様々な機関や人々の評価だ」と話した。その上で、経済・物価見通しの確度が上がっていけば、その度合いに応じて政策調整していく方針に変わりはないと話した。
10月29-30日の金融政策決定会合では、米国で収集した情報に加え、10月末にかけて出てくるデータや情報を加味した上で議論すると説明した。
(9月外貨投信残高は大幅増加発表)
9月の外貨投信残高は4.01兆円の増加。5,6,7月とそれぞれ4兆円を超える伸びを示し円安要因となっていたが、8月は7000億円と伸び幅を縮小したが9月は再び大幅増。
原油安で貿易赤字が縮小しても、外貨投信の増加が一方的な円高を抑制している
*米ドル「通貨11位(11位)、株価(NYダウ)16位(17位)、金の強さが米国の状況を表している」
(金の強さが米国の状況を表している)
金の強さが米国の不確実性を表している。政府閉鎖、関税による世界経済の混乱、ヴエネズエラの麻薬組織への攻撃、国内での州兵派遣などの混乱などによる。地銀の信用問題も発覚した。ガザ和平問題は進展したが予断を許さず。ロシア・ウクライナ紛争も簡単には終わらないだろう。
ドルは今月はここまで3位、年初来では11位で依然弱い。米国の混乱で株価が下落した時に現れる現象のリパトリでドルが強含んだことはある。損失補填のドル買いだ。
米株価はダウが年初来8.57%高、ナスダックが17.45%高、S&Pが13.3%高。米国10年国債利回りは4.013%まで低下(年初は4.57%)。
(注目の消費者物価は)
労働省は9月の消費者物価を24日に発表すると明らかにした。予想は前年比で3.1%上昇、コアも3.1%上昇の予想。
当初の発表予定日は15日。労働省は発表するため、政府機関の一部閉鎖で一時帰休させていた職員の一部を職場復帰させていた。
(米経済活動、ほぼ変化なしベージュブック)
ベージュブックによると、前回報告から経済活動にほとんど変化がなかった。3地区が「若干から控えめに成長、5地区が変化なし、4地区がわずかに軟化」したとの認識を示した。
一方、全ての地域が賃金の増加を報告した。
(政府閉鎖)
政府閉鎖米国連邦政府は2週間閉鎖されており、再開の兆しは見られない。共和党と民主党は医療保険や福祉支出といった中核的な問題で妥協を拒み、責任転嫁に固執している。米国連邦政府閉鎖の最長は、トランプ大統領の最初の任期中の35日間だった。共和党のジョンソン下院議長は、今回の閉鎖は記録を更新する可能性があると述べた。
(米中関係は)
トランプ米大統領は10月17日、中国からの輸入品に100%の追加関税を課すという自身の提案は持続可能ではないとしつつも、中国がレアアース(希土類)輸出管理強化を打ち出したことが発端となった米中通商協議の新たな行き詰まりについては、中国側に責任があると非難した。トランプ氏は同時に、中国の習近平国家主席と2週間後に韓国で会談するとも確認した。
*ユーロ「通貨3位(2位)、株価7位(6位)DAX)、フランスの政局や格下げはあるが、EUの全体的な力で耐えている」
(ユーロは3位、独DAXは7位)
ユーロは年初来では12通貨中3位。独DAXは年初来19.7%高、独10年国債利回りは2.58%。先週は米英府閉鎖での不安からユーロが対ドルで上昇した。フランスの政局や格下げはあるが、EUの全体的な力で耐えている。ユーロ通貨統合前なら、仏経済はパニックとなっていただろう。ギリシャ危機にしろ、今回の仏予算問題にしろ統合の力が支えている。
(ラガルドECB総裁)
ラガルドECB総裁は経済は好調と発言も利下げサイクルの終了は宣言せず。金融政策と経済は「良好な状態にある」と改めて強調した。米国との貿易協定締結後、不確実性は「大幅に減少」しており、経済成長へのリスクはより均衡していると考えている。金融緩和は終わったのかとの質問に対し、ラガルド総裁は「中央銀行総裁の仕事は決して終わらないと考えているため、決してそうは言いません」と述べた。ラガルド総裁と他の中央銀行総裁は、現在の金融政策運営に繰り返し満足の意を示している。ユーロ圏経済は米国の関税やフランスの政治的混乱に悩まされているものの、政策担当者はインフレ率が公式目標である2%を達成すると確信している。
(今週も複数回でラガルドECB総裁の講演あり)
今週はラガルドECB総裁の他、ECB当局者の発言機会が多い。また10月製造業・サービス業PMIの発表がある。
(来週はGDPに政策金利決定)
来週は3Q・GDPの発表がある。予想は前年比で1.1%増、前期は1.5%増。ECB理事会もあるが政策金利は据え置かれると見られている
(フランス財務相、1年で3度目の格下げに「無視できない」)
フランスのレスコル財務相は、1年足らずで3度目の格下げとなったことに対し、フランスは無視できないと述べた。「3つの格付け機関がフランスの格付けを引き下げた。この暗雲を無視することはできない」とした。「我々は2026年度予算案を提出した。財政赤字比率を今年の5.4%からGDP比4.7%に削減することを目標としている。この目標を達成できる予算を準備しているが、投票で承認されなければならない」とレスコル財務相は述べた。
*ポンド「通貨5位(5位)、株価13位(12位)、4%にのせるか消費者物価」
(通貨も株価も世界の中位当たり))
ポンドは5位、FT株価指数は13位と中位あたりにいる。10年国債利回りは4.54%で先進国では高い。
(8月GDPは小幅上昇)
8月のGDPは前月比0.1%増となり、予想と一致した。8月までの3カ月間の成長率は0.3%と、7月までの3カ月間の0.2%から小幅に加速した。
英経済は、米国の貿易戦争の全面的な影響をまだ受けていないとされ、予算を巡る不確実性もピークに達しており、家計の裁量的支出や企業の支出を抑制している可能性が高い。
(4%にのせるか消費者物価)
今週は9月消費者物価の発表がある。予想は前年比で4%上昇、8月は3.8%。コアの予想は3.7%、8月は3.6%だった。
(英中銀のピル氏は慎重)
英中銀のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏は、インフレ圧力が依然として根強いことから、「過度に、そして急速な」金利引き下げを避けなければならないと述べた。
「過去1年間よりも慎重なペースで金融政策の緩和を縮小することが適切かもしれない。緩和の行き過ぎや急速さには注意が必要だ」と付け加えた。。
(予算案は11月26日に発表)
リーブス英財務相は、11月26日に発表する予算に富裕層への増税を盛り込む構えを示した。英政府は借り入れコストが予想以上に上昇して、社会保障費の削減計画を撤回し、成長率見通し下方修正の必要性を示唆しているため、予算では増税を通じて約300億ポンドの歳入増が必要になると予想されている。
*豪ドル「通貨6位(6位)、株価14位(14位)、弱い雇用統計で追加利下げ観測高まる」
(テクニカルでは下げ止まり感はあるが、ファンダメンタルズ的には力強さはない)
豪ドルは対円、対ドルでボリバン2σ下限近辺へ下落した為、テクニカルでは下げ止まり感はあるが、ファンダメンタルズ的には力強さはない。
豪ドルは6位、株価指数は14位。10年国債利回りは4.17%。
(失業率悪化で追加利下げ観測強まる)
9月の雇用統計では、求職者の増加を受けて失業率が予想以上に上昇し、約4年ぶりの高水準となった。11月にRBAが追加利下げを行う確率が72%と、統計発表前の40%から上昇した。 失業率は4.5%に上昇した。
予想は4.3%。就業者数は前月比1万4900人増加。予想の2万人増を下回った。インフレ率が中銀の最新予測より高くなる見込みだが、労働市場は予想よりも弱い。
(今週の予定)
今週は10月製造業・サービス業の発表。RBAジョーンズ副総裁講演、またRBA金融報告などがある。来週はブロックRBA総裁発言や3Q消費者物価の発表がある。
(RBAハンター総裁補)
RBAハンター総裁補は3Qのインフレ率は予想より高くなる可能性があるとの認識を改めて示した。最近の経済指標は総じて予想よりやや強い一方、雇用の伸びはやや減速していると指摘した。 消費者需要が回復し、一部セクターでインフレが粘着的になる中、9月は金利据え置きを決定したと説明した。 今後については「結果を注視し、経済見通しに関する見解を継続的に再評価する。理事会は新たな情報入手に伴い、適切に政策を調整する」と述べた。
*NZドル「通貨10位(10位)、株価19位(19位)、通貨、株ともに安い。金利は異例にも豪より低い」
(通貨・株が弱く。長期債利回りがいつになく低い)
NZドルは10位、株価指数は19位、いずれも弱い。10年国債利回りは4%割れで、珍しく豪長期債利回りを下回っている。NZドルは対円でも対ドルでもボリバン下位にいるので下げ止まり感も出てくるだろう。
(今週は注目の3Q消費者物価)
今週は注目の3Q消費者物価の発表。予想は前年比で3%上昇、前期は2.7%上昇。また9月貿易収支の発表もある。17億NZドルの赤字予想、前月は11.85億ドルの赤字だった。
(S&Pの格付けは)
S&PはNZの外貨建て格付けを「AA+/A-1+」、現地通貨建て格付けを「AAA/A-1+」を据え置き、見通しは「安定」とした。
経済成長率は今後3年間で2.2%~2.3%に回復すると予想。実質GDPは2025年6月までの12か月間で1.1%減少し、過去5四半期のうち3四半期で経済が縮小した。
(住宅ローン規制緩和)
NZ中銀は、住宅ローンの対資産価値比率(LVR)規制を12月1日から緩和すると発表した。住宅価格が低下を続け、持続可能な水準になったため。
銀行の住宅ローンは、頭金比率20%未満の住宅購入者向けの全体に占める比率が従来の20%から25%に引き上げられる。
マクレガー副総裁代行は声明で「LVRの基準を緩和することで、銀行は融資における柔軟性を高め、市場の効率性と信用へのアクセスが改善する。特に住宅の初回購入者にとって支援になる」と説明。