この記事は2025年10月20日に配信されたメールマガジン「アンダースロー:自維連立政権で事実上の『財政あっての経済』から真の『経済あっての財政』への転換」を一部編集し、転載したものです。

経済グランドデザインとして、前者の財務省主導の財政健全化優先の「財政あっての経済」と、後者の高市政権主導の「高圧経済」の「経済あっての財政」の試算では、政府純債務残高の改善の差と比較し、名目GDPの差はあまりに大きく、国民の生活への影響の違いが明確です。財政収支はいつでも黒字でなければならないという管理通貨制の時代錯誤な考えで、変動相場制であっても黒字を目指して、ネットの資金需要を消滅させることは、名目GDPの拡大を抑制し、国民を困窮させます。
政府の利払い負担の最大額(長期金利X純債務残高、GDP比)は、「財政あっての経済」が1.5%程度までの拡大に対して、「経済あっての財政」は2.3%程度までの拡大にすぎません。国民を困窮から救うため、事実上の「財政あっての経済」から真の「経済あっての財政」への転換が必要で、そのコストは大きくありません。名目GDPの拡大を考えないで、利払い額の増加だけで財政不安を煽る議論は全く意味がないばかりか、日本経済に有害です。
自民党と日本維新の会は、党首会談で新たな連立政権を樹立することで合意し、21日に予定される臨時国会で高市自民党総裁が女性として初の首相に指名されることが確実となりました。現在のところは閣外連立になるとみられますが、「副首都構想」(維新の主張)として「首都機能のバックアップ体制構築」(高市氏の総裁選公約)を推進し、来年の通常国会で関連法案を通すことで閣内に入る本格的な連立を目指すことになります。防災の国土強靭化、交通網の整備、経済安全保障の政策と一体的な推進が必要となり、官民連携の投資の拡大で、事実上の「財政あっての経済」から真の「経済あっての財政」への積極財政による転換がなされるでしょう。
政府の中長期の経済財政に関する試算(成長移行ケース)をベースに、財政健全化優先で財政収支が+1.0%(GDP比%)に改善するケースでは、2034年度で政府純債務残高(GDP比)は-87.2%から-53.2%まで改善します。
ネットの資金需要(企業貯蓄率+財政収支)が消滅すれば、名目GDP成長率は停滞するため、国民の所得としての名目GDPの拡大は680兆円程度までとなってしまいます。
財政収支を-3%と、高圧経済を目指して赤字を維持するケースでは、政府純債務残高は-65.7%までしか改善しません。しかし、ネットの資金需要が回復し、名目GDP成長率が押し上げられるため、名目GDPの拡大は766兆円程度まで拡大することになります。
経済グランドデザインとして、前者の財務省主導の財政健全化優先の「財政あっての経済」と、後者の高市政権主導の「高圧経済」の「経済あっての財政」の試算では、政府純債務残高の改善の差と比較し、名目GDPの差はあまりに大きく、国民の生活への影響の違いが明確です。
財政収支はいつでも黒字でなければならないという管理通貨制の時代錯誤な考えで、変動相場制であっても黒字を目指して、ネットの資金需要を消滅させることは、名目GDPの拡大を抑制し、国民を困窮させます。
政府の利払い負担の最大額(長期金利X純債務残高、GDP比)は、「財政あっての経済」が1.5%程度までの拡大に対して、「経済あっての財政」は2.3%程度までの拡大にすぎません。
国民を困窮から救うため、事実上の「財政あっての経済」から真の「経済あっての財政」への転換が必要で、そのコストは大きくありません。
名目GDPの拡大を考えないで、利払い費の増加だけで財政不安を煽る議論は全く意味がないばかりか、日本経済に有害です。
自民党と日本維新の会は、党首会談で新たな連立政権を樹立することで合意し、21日に予定される臨時国会で高市自民党総裁が女性として初の首相に指名されることが確実となりました。
現在のところは閣外連立になるとみられますが、「副首都構想」(維新の主張)として「首都機能のバックアップ体制構築」(高市氏の総裁選公約)を推進し、来年の通常国会で関連法案を通すことで閣内に入る本格的な連立を目指すことになります。
防災の国土強靭化、交通網の整備、経済安全保障の政策と一体的な推進が必要となり、官民連携の投資の拡大で、事実上の「財政あっての経済」から真の「経済あっての財政」への積極財政による転換がなされるでしょう。
自民党と維新の会だけでは、衆参で議席が過半数に若干届かず、国民民主党との連携を模索する動きは続くでしょう。
国民民主党などが主張する減税政策を、積極財政の方針で包容力のある高市政権が丸のみして、国民民主党とも連携して政権を安定化させるとみられます。
図1:財政黒字を目指せば政府の債務残高は小さくなるが改善は大きくありません

出所:財務省、内閣府、クレディ・アグリコル証券)
図2:「経済あっての財政」と「財政あっての経済」では名目GDPに大きな差が生まれます

図3:政府の利払費の負担はG7国々の現在の水準と同程度になるだけです

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