2029年3月期に売上高1700億円を

同ビジョンでは最終年度に売上高1700億円、営業利益率12%以上、ROE(株主資本利益率)10%以上などを目標する。

まず2025年3月期までの3年間(前中期経営計画)に、研究開発やM&A、DX(デジタルトランスフォーメーション)、設備・環境、人材関連に総額300億円の投資枠を設けた。

M&Aについてはこの間に3件を実行。2022年に日昭設備工事(現大分ノーミ、大分市)、坂本電設(札幌市)を、2024年にシステムズ(仙台市)を子会社化した。

いずれも電気設備工事や消防施設工事、保守点検を手がける地域の有力企業で、高齢化や人手不足に対応した各地での施工・メンテナンス体制の基盤強化を狙いとした。ただ、買収後のPMI(統合プロセス)については進め方などに課題が残ったとしている。

今年4月にスタートした新中期経営計画は2029年3月期までの4年間とし、引き続き防災周辺領域や隣接業界へのM&Aの積極的な展開を重点施策に位置付ける。M&Aを含めて成長投資として200億円以上を想定している。

新セグメントが加わる可能性も

新中計後の第一弾として7月1日付で工事会社の北興通信(北海道函館市)を子会社化。これに続くのがIHIからの明星電気の買収発表で、今年早くも2件のM&Aに動いたことになる。

新中計初年度にあたる2026年3月期業績は売上高5.2%増の1406億円、営業利益5.2%増の165億円を見込む。27年3月期以降は明星電気の業績が通期で寄与する。

現在のセグメント別の売上高は、火災報知設備部門(火災報知設備、ガス漏れ警報設備、防火・防排煙設備、非常用放送設備など)36%、消火設備部門(スプリンクラー、泡消火設備、プラント・トンネル防災システムなど)34%、保守点検・その他部門30%。

非火災領域を主軸とする明星電気が合流することで、今後、セグメントの再編や新たなセグメントの誕生も予想される。

能美防災は来年、セコムグループ入りして20年の節目となる。セコムと連携しつつ、M&Aを駆って総合防災メーカーとしての間口と奥行きをどう広げていくのか、要ウオッチとなりそうだ。

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

文:M&A Online