コムシスホールディングス株式会社

「人」を最大の資源と位置づけ、現場主導のDXを推進するコムシスグループ。70年以上の歴史を持つ日本コムシスを母体に、各地域の通信建設会社が加わって形成された同グループは、日本の情報通信インフラを支える中核的存在だ。建設業界全体が直面する労働人口減少という課題に対し、DX推進部を中心に変革を進める同社では、Microsoft 365の導入による生産性向上、クラウド移行、遠隔支援など、具体的なDX戦略を次々と打ち出している。社員一人ひとりの自発的な変革を促す人材育成の仕組みとは──。IOWN構想や脱炭素社会の実現に向けたコムシスグループの未来像についても、DX推進部長の北口隆也氏に話を聞いた。

北口 隆也(きたぐち たかや)──コムシスホールディングス株式会社 理事 DX推進部長
2018年、東日本電信電話株式会社(現 NTT東日本株式会社)取締役に就任。ITイノベーション部長、デジタル革新本部副本部長を歴任し、デジタル技術を活用したビジネスモデルおよび業務プロセスの改革に取り組んできた。2020年にコムシスホールディングス株式会社に入社後、DX推進部長ならびに主要子会社である日本コムシス株式会社のDX推進本部長に就任し、豊富な知識と経験を基にコムシスグループ全体のデジタル変革を牽引している。
コムシスホールディングス株式会社
コムシスグループの事業分野は、通信キャリア事業における電気通信設備の構築・運営から、ITソリューション事業におけるITインフラ構築・ソフトウェア開発、社会システム関連事業における社会インフラ構築及び再生可能エネルギー設備構築に至るまで、社会・経済活動を根底から支える様々な分野のエンジニアリング事業を網羅している。「通信基盤づくり×ITシステムづくり×社会システムづくり=無限の可能性」で新たな価値を届けるリーディングカンパニーを目指して、「社会」と「お客様」と「株主及びグループ従業員」に対して更に一層の貢献を図りつつ、コムシスグループ一体となり、様々な社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、さらなる企業価値の向上に取り組んでいる。

目次

  1. コムシスグループの事業概要とDX推進部のミッション
  2. コムシスグループの強みと建設業界の課題
  3. DXが売上目標達成に果たす役割と具体的な取り組み
  4. DX導入における人材育成と組織変革
  5. DX推進による成果とコムシスグループの未来像
  6. DX推進のカギ──人を巻き込み、小さく始め、伴走する

コムシスグループの事業概要とDX推進部のミッション

── グループの中核である日本コムシスは歴史のある誰もが知る企業です。

北口氏(以下、敬称略) グループの中核を担う日本コムシスは、70年以上にわたり通信キャリアの設備構築を手がけ、日本の情報通信インフラを支えてきました。コムシスグループ全体で当初は情報通信分野が事業の大部分を占めていましたが、その後、同じ技術とスキルを活かしてITインフラや社会インフラの分野へと事業領域を拡大。現在では、情報通信インフラのキャリア向け事業と、IT・社会インフラ事業がそれぞれおおよそ半分ずつを占める構成となっています。

今年5月には「コムシスグループ2030ビジョン」を発表し、新たな中期経営計画をスタートしました。その中で、私たちは4つの重点取り組みを掲げています。

第一に、祖業である情報通信インフラの構築・運営を担い続けること。
第二に、情報通信インフラの構築・運営で培った技術とノウハウを活かし、ITプラットフォームや社会インフラの構築事業をさらに強化すること。
第三に、社会のIT化・スマート化が進み、ICT・DXがより多様な領域に組み込まれていく流れを捉え、新たな分野にも挑戦すること。祖業を堅持しながら、既存のIT・社会インフラ領域を盤石にし、その外側へと事業を拡大していきます。
そして第四に、これらを支える経営基盤を強化することです。

2030年には売上高8,000億円、営業利益600億円の達成を目指し、さらにその先の2030年代には1兆円企業への成長を視野に入れています。

── DX推進部はどのようなミッションを担っているのですか?

北口 私たちのミッションは、グループ全体のDXを推進し、経営基盤を強化することで中期計画の達成に資することです。コムシスグループは現場主体の工事会社であるため、最も重視しているのは現場の働き方改革です。労働人口や建設業従事者の減少が進む中、仕事を増やすためにその分現場の人を増やすことは現実的ではありません。

テクノロジーを活用して現場の業務をアップデートすること。それによって現場でしかできない価値ある仕事に集中し、安心してより多くの仕事をこなしながら、やりがいと誇りを持って働ける環境を実現したいと考えています。そのような姿を通じて、若い世代が「この業界で、コムシスグループで働いてみたい」と思えるようにしていきたいと考えているのです。

そのためには、旧態依然とした働き方を現場から変えていく「変革の文化」を根付かせることが不可欠です。その文化をどう築くか、変革の実現のためにどのようなテクノロジーを提供するか、そしてテクノジーを使いこなす人材をどう育てるか──。ポテンシャルの高い人材にテクノロジーの単なる活用にとどまらず、業務変革の実体験を通して変革人材として成長してもらうこと。それこそが、私たちDX推進の真のミッションだと考えています。

コムシスグループの強みと建設業界の課題

── 他社にはない独自の強みはどのような点にあると分析していますか?

北口 コムシスグループでは、光ファイバー開通工事のように小規模で多数の案件を手がけるものから、土木造成を伴う大規模な太陽光発電所工事のように長期にわたるプロジェクトまで、幅広い規模の工事を展開しています。こうした守備範囲の広さこそが、他の建設会社にはない当グループの強みです。

さらに、情報通信インフラの構築から事業をスタートしているため、ICT分野に強みを持つことも大きな特徴です。今後、あらゆるインフラの構築においてセンサーや通信技術の組み込みは欠かせなくなっていくでしょう。小規模から大規模まで対応できる柔軟性に加え、土木インフラからICTといった高レイヤー領域までを垂直的にカバーできる――。その総合力こそが、コムシスグループの最大の強みです。

── 人材不足という建設業界全体の問題について、グループとして最優先で解決したいことは何ですか?

北口 人こそがコムシスグループの最大の資源であり、社員が快適に、生きがいを持って働ける環境づくり、そして人材の確保が最大の課題です。人員の減少と若手の参入不足による高齢化の進行は、建設業全体に共通する深刻な課題だと認識しています。

長く通信インフラを支える仕事に携わってきたコムシスグループの社員には、独自の特色があると思っています。自分たちの仕事に使命感と誇りを持っているのです。

どの災害でもそうですが、能登半島地震の際も家族の安否の確認や被災状況の把握のために通信の迅速な復旧が求められました。現地の北陸電話工事の社員だけでなく、コムシスグループ全体、さらには通信建設業界全体から支援に駆けつけ、通信の一日でも早い回復のために全力を尽くしました。現地では水が限られ、衛生環境も厳しい状況でしたが、社員は「今こそ自分たちの出番だ」という使命感を胸に現地に赴き、復旧作業に従事していました。きつい仕事でも当然に自らの役割として、気概や誇りを持って取り組む。そんな中で地域の方々から感謝の言葉を頂き、「本当に大変だったが、被災地の方々の役に立つことができとても嬉しい」と社員が語り合うような文化を育んでいます。

建設業というと「泥臭い仕事」という印象を持たれがちですが、実際にはデータセンター建設のように来るべきAI社会を支える基盤をつくる仕事でもあります。私たちが担っているのは、社会の重要なインフラを支える誇りある仕事です。

我々の文化や我々が担っている仕事の価値を若い世代にもっと発信して、この業界により関心を持ってもらいたいと考えています。

これも建設業全体に共通する課題ですが、当グループの現場にもまだアナログな仕組みが多く残っています。いかに早く、そして徹底的にデジタル化していくかが重要なテーマです。若い世代にとっては、紙でのやり取りはもはやナンセンスで、音声を使ったコミュニケーションも作業の途中で手を止める必要があるという点で非効率に感じるかもしれません。テキストチャットなどを活用し、互いの作業を中断することなくスムーズに意思疎通ができる職場環境がますます求められていると感じています。

コムシスグループでは、パートナー会社と協力しながら工事を進めています。そのためパートナーも含めた現場の連携が非常に重要です。朝礼で集まって一日の作業を確認し合うことに加え、作業中に離れた場所からでも互いの進捗や課題をリアルタイムに共有できる仕組みの整備が必要になっています。

また、人手が限られるなかで、いかに現場に目を行き届かせ、手厚い支援を可能にするのかも大きなテーマです。コムシスグループではネットワークカメラを活用し、遠隔から危険な行動を検知・指摘する仕組みや、現場の困りごとをその場で相談できる仕組みの導入を進めています。デジタル技術は安全で働きやすい現場環境の実現に大いに役立つと考えています。

DXが売上目標達成に果たす役割と具体的な取り組み

── 2030年までに、売上高8,000億円を目指すとされていますが、目標達成においてDXはどのような役割を果たすのでしょうか?

北口 目標達成の鍵となるのは、やはり「人」です。単純に人を増やすことが難しい状況の中で、「人をいかに大切にするか」、そして「現場の人にしかできない仕事“以外”の負荷をどう徹底的に減らすか」が重要なポイントになります。

実際、報告業務などに追われ、本来は現場作業に集中すべき人が周辺業務に忙殺されることも少なくありません。時には現場を離れて事務所に戻り、再び現場に向かうといった非効率も発生しています。私たちは、現場の効率を徹底的に高め、無駄を省くことで、現場で働く人を大切にし、結果として売上目標の達成につなげていきます。

現場で働く人たちが、現場の仕事に集中できる環境をどうつくるか。それが私たちの使命だと思っています。

そのために現場の声を真摯に受け止め、現場の作業を最も理解している人々のすぐそばに寄り添いながら、業務変革を支援しています。現場を知り尽くした人が自らの手で現場に即したツールをつくることによってこそ、本当の意味での効率化が実現できると考えています。

加えて、私たち自身が全社的なデジタル導入を進める中で直面する、既存システムからの切り替えに伴うさまざまな課題は、他のお客様も同じように経験されるものです。

たとえば、メールサーバーやファイルサーバーをクラウドへ移行する際、グループ全体で膨大なデータを移行する具体的な手順は、決して自明ではありません。業務に極力影響を与えないよう、地道に、いわば“泥臭く”移行プロセスを工夫する中で得たノウハウは、私たちにとって大きな資産です。こうした資産を活かし、同様の課題に直面するお客様に対して、スムーズな移行を支援するサービスとして提供できると考えています。今後は、こうした経験を体系化し、より多くのお客様のデジタル変革の支援につなげていきます。

── 具体的なDXツールやサービス、システムの事例についても教えてください。

北口 決算説明会でも社長の田辺が触れましたが、現在、マイクロソフト社の統合ツール「Microsoft 365」をグループ全体に導入しています。これが1つ目の取り組みです。

Microsoft 365導入の目的はいくつかあります。まず、社員間やパートナー企業との情報連携をスムーズにし、部門や会社の垣根を越えて協働できる環境を整えることです。また、現場での業務改善に活用できるローコードツールとしても期待しています。

さらに、情報共有を進めるうえで最も重要なセキュリティを確保し、安心してコミュニケーションや業務効率化のためのツール開発が行える環境を構築します。情報共有、生産性向上、セキュリティ確保を同時に実現する手段として、Microsoft 365をグループ全体に導入し、生産性のさらなる向上を実現していきます。

2つ目は、環境変化に柔軟に対応するためのシステムのクラウド化です。以前は仕事内容が明確で、それに合わせて最適な社内システムを自社開発し、効率化を図ってきました。しかし現在は環境変化が激しく、仕事の量や内容が短期間で変動するため、そうした変動への柔軟な対応が不可欠です。そのため、これまでのオンプレミス型システムからクラウドベースのシステムへの移行を進め、ニーズの変化に迅速かつ柔軟に対応できる体制を整えていきます。

また、新たなニーズには自社開発に時間をかけるのではなく、市販のツールを積極的に活用し、スピード感を持ってグループ全体の要望に応えていきます。

すでに建設業界の課題のところでも触れましたが、3つ目の取り組みは、遠隔カメラなどを最大限に活用し、現場に赴く人数を減らすとともに、少人数でも遠隔支援を受けながら多様な作業を行える仕組みを強化することです。すでに導入を開始しており、今後はその取り組みをさらに拡充していきます。

DX導入における人材育成と組織変革

── 新しいデジタルツールをいきなり全社に導入するのは難しいと思います。どのように進めたのでしょうか。

北口 おっしゃるとおり、新しいものはすぐには受け入れられません。たとえ既存のツールに課題があっても、慣れてしまうと「多少の不便があっても今のままでいい」「変えてほしくない」と感じる利用者は少なくありません。

コムシスグループでも、新しいツールの導入にはさまざまな苦労があります。「明日からこれを使え」というトップダウンの導入では、せっかくの良いツールでも“やらされ感”が先に立ち、抵抗感を生んでしまいます。そこで、まずは「自分で試してみたい」という社員に先行して使ってもらうアプローチを取り入れています。生成AIの社内導入では、まさにこの手法を採用しました。

まず、一部の社員に先行して使ってもらうと、それを見た周囲の社員から「自分も使ってみたい」という声が上がり、利用の輪が自然に広がっていきます。

特に、上手な活用事例を社内で共有することで、「そんな使い方ができるなら、自分も試してみたい」という声が増えてきます。何よりも、当事者が「自分ごと」として捉え、「こう工夫してみよう」と思って使ってくれることが重要です。こうした本人のやる気や自主性を引き出すアプローチは、実際に生成AIの利用者が雪だるま式に増えている現状を見ても、間違っていなかったと感じています。今後は、この成功体験を他の領域にも広げていきたいと考えています。

自ら「使ってみたい」という人を増やすため、日本コムシスでは全社員向けにeラーニングを提供し、DXの基礎知識や社内で利用できるツール、活用事例などを積極的に発信しています。

希望者には、基礎的なリテラシー教育のさらに上位レベルとして、生成AIなど社内で実際に活用できるツールの研修を用意し、意欲ある社員の成長を後押ししています。それに合わせて、「やる気」と「スキル」の2軸でアセスメントも実施しています。その結果を所属組織へフィードバックし、組織全体でDXプロジェクトを推進する際には、チームメンバーの選定にこのアセスメント結果を活用してもらっています。

こうした取り組みを通じて、ポテンシャルのある人材を巻き込み、社内全体でDX推進の機運を高めています。目指すのは、 “変革の足を引っ張る人”をなくし全員が「ついていく」レベルへ、そして「ついてきていた」人が「引っ張っていく」リーダーへと成長すること。この取り組みの先に、社員一人ひとりが自ら考え、行動する「変革の文化」の定着があると考えています。

DX推進による成果とコムシスグループの未来像

── DXの取り組みを通じて社内で起きた変化や、コスト面でのインパクトなど、具体的な成果を教えてください。

北口 定量化は難しい部分もありますが、コムシスグループは現場主体の会社です。だからこそ、「現場をいかに大切にするか」が会社の将来を左右すると考えています。

そのため、現場にフォーカスし、現場を重視する姿勢や、現場のためのツール・研修の提供、そして現場の声に真摯に耳を傾けるという方針を、積極的に発信しています。改革の文化や風土を築くという大きなテーマは一朝一夕には実現しませんが、まずは「現場の皆さんが主人公であり、その声を聞いている」というメッセージを発信し続けています。

取り組みの一つとして、現場の代表者に集まってもらい、課題を直接ヒアリングしています。寄せられた意見には大小を問わず真摯に向き合い、必ず回答するようにしています。すぐに対応できるものは実行し、時間を要するものは計画を説明し、対応が難しいものについてはその理由を伝える――その誠実な対話を続けています。

まだすべての現場に浸透しているわけではありませんが、意見が社長まで届き、丁寧に扱われることを実感してもらうことで、徐々に「自分たちに光が当たっている」と感じてもらえていると思います。

すぐに具体的なコスト削減効果を示すのは難しいですが、目指すべき姿に向けて、小さな一歩ずつ着実に前進していると感じています。

── ここ数年で感じた変化についても教えてください。

北口 人材の面で言えば、日本コムシスでは全社員がDXに関するeラーニングを受講した後にアンケートに回答しています。その結果、「もっと学びたい」「DXの取り組みに参加したい」といった声が多く、研修を始めた当初から社員の関心の高さを実感しました。さらに年を追うごとに、「もっと勉強したい」「参画したい」という社員の割合が着実に増えています。

個人レベルだけでなく、組織レベルでも変化が見られます。以前は各組織からDX推進に関する具体的な要望はあまり多くありませんでしたが、「私たちが伴走しますから、一緒にやりましょう」と働きかけることで、「こういうことをやってみたい」という声が次々に上がるようになりました。社員一人ひとりの関心の高まりに加え、組織全体でもDX推進の機運が確実に高まってきていると感じています。

── 今後の展望、DXを通じてコムシスグループが描く建設業界の未来像について教えてください。特に、NTTが提唱する次世代光通信技術「IOWN」や脱炭素社会の実現といったテーマに、今後どのように関わっていくのでしょうか。

北口 さまざまなインフラを担い続けることがコムシスグループのミッションですが、今後、それぞれのインフラが一気にスマート化していくと予想しています。

たとえば高速道路では自動運転が現実味を帯び、車内で快適に過ごすための通信環境が不可欠になるでしょう。このように、社会全体が急速にデジタル化・スマート化していく見通しです。

スマート社会の実現において、情報通信インフラ構築という強固なビジネス基盤を持ち、幅広いインフラ領域へと事業を拡大してきた当グループは、非常に良いポジションにあると認識しています。これからもこのミッションを全うし、社会に必要とされ続ける存在でありたいと考えています。

通信キャリアとの関係を重視するコムシスグループは、当然ながらNTTが提唱する次世代光通信技術「IOWN」の実現を全力で支えていきます。

将来的にIOWNは、人と人とのコミュニケーションだけでなく、高速道路における車両状況のセンシングや交通誘導など、社会基盤への実装も進むでしょう。これは当グループが取り組むべき最重要課題の一つであり、確実に実現していきたいと考えています。

脱炭素については、通信事業者とともに実現を目指す「通信が物理的な移動を代替する世界」自体が、極めて大きな脱炭素への貢献につながると考えています。人の移動に伴って発生するCO₂を削減し、場所を移動せずとも今まで以上に円滑なコミュニケーションが可能な社会の実現です。

将来的には、遠隔会議が対面との違いを感じさせないほどリアルになり、現地に赴くのは付加価値のある場合に限られるようになるでしょう。また通信の発展そのものを通して脱炭素に寄与するだけでなく、当グループが担う工事のプロセスにおけるCO₂排出量の削減にも取り組んでいきます。

新しい情報通信インフラの構築を通じて脱炭素に貢献するとともに、具体的な構築プロセスにおいても環境負荷を低減する。――これが私たちなりに社会の持続可能性に寄与するアプローチです。

DX推進のカギ──人を巻き込み、小さく始め、伴走する

── 今DXに取り組んでいる企業、これから取り組もうとしている経営者も少なくありません。DX推進におけるアドバイスがあるとすれば、どのような点になりますか。

北口 他社にアドバイスできる立場ではありませんが、これまでの経験から感じていることを3点お伝えします。

第一に、「人をいかに巻き込むか」です。DXの主人公は現場の一人ひとりであり、彼らが主体的に取り組める環境をどうつくるかが鍵になります。丁寧なコミュニケーション、ボトムアップの意見の吸い上げ、トップからの明確なメッセージ発信を組み合わせ、一人ひとりが「自分ごと」としてDXに関わるよう促すことが重要です。

2つ目は、「とにかくやってみること」。考えているうちに時間だけが過ぎてしまいがちですが、小さくてもいいので、まずは成功体験を早くつくることです。社員に「デジタルでこんなことができるのか」と実感してもらうことで、「自分の仕事にも応用できるのではないか」という想像力が生まれ、「自分もやってみたい」という声が次々に広がっていく。コムシスグループには真面目で誠実な社員が多く、このアプローチがDXの自然な広がりにつながっていると感じています。

3つ目は、「一人にしないこと」です。DXに挑戦しようとする社員を孤立させず、「私たちはそばにいます。一緒に伴走します」と伝え、共に進めていくことが大切です。

まとめると、人を巻き込み、いきなり大きな夢を掲げて挫折するのではなく小さな成功を積み重ね、やる気のある人を決して一人にせず伴走すること。この3つが、コムシスグループのDX推進が軌道に乗った要であり、今後も大切にしていきたい取り組みです。

DXは人が主役の取り組みです。現場の力を信じ、共に歩む姿勢をこれからも大切にしていきたいと考えています。