この記事は2025年11月14日に「きんざいOnline:週刊金融財政事情」で公開された「26年前半の米国株は軟調も、年後半は中間選挙を契機に上昇へ」を一部編集し、転載したものです。
2026年の米国の政治イベントといえば中間選挙だろう。中間選挙は、一般には現職大統領が率いる政党(今回でいえば共和党)に不利とされる。今回の中間選挙では、関税を巡る混乱や政府閉鎖、政府職員の解雇などに辟易した有権者が民主党に票を投じる可能性が相応に考えられる。実際、ドナルド・トランプ政権の支持率は低下している。つまり、来年の中間選挙はトランプ政権にとって非常に厳しい戦いになると推測される。
こうした状況を打開するために、通常は減税や給付を行う可能性が高いが、果たして今回の中間選挙に向けてどうだろうか。結論からいえば、今回の中間選挙でもそうした展開が期待できる。
第1次トランプ政権の中間選挙、つまり18年の中間選挙を振り返ってみたい。18年は、トランプ政権が対中強硬姿勢を強め始めた年である。この年のS&P500は、こうした姿勢への懸念から年初に乱高下を見せた。その後は上昇基調となったが、S&P500は同年10月から12月にかけてピーク時から最大2割程度下落する場面もあり、前年比では6.2%の下落となった(図表)。
18年の中間選挙はそのさなかで行われ、上院は共和党が過半数を維持したが、下院では過半数を維持できなかった。中間選挙対策である「トランプ減税」に対する注目がかなり早い段階で集まり、その後に対中強硬姿勢を強めたことが、政権不信と株価調整につながったと筆者はみている。つまり、トランプ減税は功を奏さなかったわけだ。
第2次トランプ政権は、同じ轍を踏まないようにすると考えられる。具体的には、26年後半にかけ、対外的な強硬姿勢は控え、減税や給付などの人気取り政策で票集めに走るだろう。
26年後半には米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げは、終盤に入っている可能性が高い。よって、米国の景気は利下げの影響から底堅いことが予想される。その中での中間選挙は、株価を上昇させる「カタリスト」的な存在となり得る。
もっとも、26年前半は中間選挙を前に党派間の対立が鮮明になりやすい。そこでトランプ大統領は、自らの存在感をアピールするため、予想に反して対外強硬政策に出る可能性に注意する必要がある。従って、米国の政治情勢や通商政策への懸念から、米国株が下押しする場面もあると考えられる。こうした場面では下値を拾い、26年後半の上昇に備えることが来年の投資戦略において有効となる。
T&Dアセットマネジメント チーフ・ストラテジスト 兼 ファンドマネジャー/浪岡 宏
週刊金融財政事情 2025年11月18日号