11月を振り返ると、松井証券、富山銀行、全国保証と金融関連での資本業務提携が目についた。
松井証券、保険領域にサービス拡大
ネット証券大手の松井証券は、名証メイン市場上場で保険代理店を運営するエージェントIGホールディングスの株式27.4%を第三者割当増資の引き受け(6億9200万円)などで取得すると発表。12月2日付で取得を完了し、筆頭株主となった。
松井証券は2023年10月、顧客限定の銀行サービス「MATSUI Bank」を開始するなど、証券ビジネスを中核に金融サービスの領域拡大に力を入れており、今回もその取り組みの一環。
サービスメニューに保険を加えて多様な金融ニーズにこたえるとともに、これまでのオンラインサービスでは得られなかった顧客接点を獲得し、自社での株取引につなげるのが狙いだ。
富山銀行は、ホテル・旅館、レストランなどを国内外で展開するPlan・Do・See(東京都港区)と資本業務提携した。富山県をはじめ北陸エリアにおけるホスピタリティー産業の成長を通じた地域創生・活性化につなげるのが目的で、Plan・Do・Seeは5%を上限に富山銀行の株式を取得する予定。
全国保証は「モゲチェック」のMFSに10%出資
住宅ローン保証最大手の全国保証は、住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」などを展開するMFSに10%出資することを決めた。2億6700万円の第三者割当増資を2026年1月8日付で引き受ける。AI(人工知能)技術の活用などによるローン審査プロセスの高度化に向けた共同研究などを進める計画。
MFSが主力とする「モゲチェック」は日本最大級の住宅ローン比較診断サービスとして35万人(9月末時点)の会員を抱え、住宅ローンの審査結果と顧客属性情報などの多様なデータを蓄積している。
カインズ、住設リフォームの交換できるくんと提携
ホームセンター最大手のカインズ(埼玉県本庄市)はインターネットによる住宅設備機器のリフォームサービスを手がける、交換できるくんの第三者割当増資(2億3970万円)を引き受け、4.02%を出資する。実行日は12月15日。
カインズは、現地調査不要で住宅設備機器のリフォームの見積もりや事前準備をオンラインで完結できるシステム「リプラフォーム」を交換できるくんから導入する。また、交換できるくんが職人育成を目的に立ち上げた「交換技能アカデミー」にカインズ専用カリキュラムを設ける。
リフォーム需要が高まる一方で、職人確保と技能伝承が重要課題となる中、リアルとデジタルを連動させながら、顧客にとってより便利なリフォームサービスの提供を目指し、両社で協業を進める。