この記事は2026年2月6日に「きんざいOnline:週刊金融財政事情」で公開された「高齢者の雇用状況は改善も、65歳以後に働ける環境整備が課題」を一部編集し、転載したものです。
(厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告」)
高年齢者雇用安定法では、①定年制の廃止、②定年の引き上げ、③継続雇用制度の導入──のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じ、65歳までの安定した雇用の確保を事業主に義務付けている。さらに、①~③に加えて創業支援等措置を講じることにより、70歳までの就業機会を確保する措置(高年齢者就業確保措置)を事業主の努力義務としている。本稿では、高齢者の雇用状況を分析したい。
2025年12月に厚生労働省が公表した「高年齢者雇用状況等報告」では、高齢者の雇用環境が改善していることが明らかになった。高年齢者雇用確保措置を実施している企業の割合は99.9%とほぼすべての企業が対応しており、継続雇用制度を導入している企業が65.1%(前年比2.3%ポイント減)、定年の引き上げを行っている企業が31.0%(同2.3%ポイント増)、定年制を廃止している企業が3.9%(同ゼロ%ポイント)となっている。
他方、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施している企業の割合は34.8%にとどまり、少数派に過ぎない。その内訳は、継続雇用制度の導入が28.3%(前年比2.7%ポイント増)、定年の引き上げが2.5%(同0.1%ポイント増)、定年制の廃止が3.9%(同ゼロ%ポイント)だった。報告企業における定年年齢を見ると、60歳を定年とする企業が62.2%で、この企業を含めて65歳以下を定年年齢とする企業が92.4%に上る(図表)。
25年6月に内閣府が公表した「高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、企業で働く60~64歳の会社員(会社・団体の役員、正社員、契約社員、嘱託社員の合計)の割合が43.7%であるのに対し、65~69歳の会社員は23.1%に過ぎない。25年版「高齢社会白書」では、収入を伴う仕事をしている60歳以上の人が「何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか」という問いに対して「65歳くらいまで」と「70歳くらいまで」とした回答の合計が35.7%に上った。一方、「75歳くらいまで」(13.7%)、「働けるうちはいつまでも」(22.4%)との回答も多く見られた。
働く高齢者を増やすことを目的に、26年から在職老齢年金の支給停止基準額が引き上げられ、年金の繰り下げ受給がしやすくなる改正や、個人型確定拠出年金(iDeCo)を70歳まで拠出できる改正も行われる。今後も65歳以降に働ける環境の整備が喫緊の課題といえる。
アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 主席研究員/花村 泰廣
週刊金融財政事情 2026年2月10日号