この記事は2026年4月24日に「きんざいOnline:週刊金融財政事情」で公開された「露呈した在留カード改革の欠点」を一部編集し、転載したものです。


露呈した在留カード改革の欠点
(画像=楠 英浩/stock.adobe.com)

在留カードのデジタル化は、外国人の利便性向上や行政事務の効率化、偽造防止や本人確認の高度化を目的として進められている。こうしたなか、2026年6月の改正入管法施行により、在留カードとマイナンバーカードを一体化した「特定在留カード(マイナンバー一体型)」の発行が可能となる。他方、一体化を希望しない外国人向けには第二世代在留カード(在留カード単体型)が引き続き発行される。在留カードは廃止ではなく、複線的な類型構成の下で段階的なデジタル化が図られている。

特定在留カードでは住民基本台帳情報に基づく氏名・住所がテキストデータとして格納され、本人確認やKYC更新の効率化に資する。ただし、特定在留カードの取得は任意だ。プライバシー意識や利用目的の違い等から、第二世代在留カードを選択・継続利用する外国人が相当数に上ることが予想される。第二世代在留カードはマイナンバーカードと一体化していない。ICチップには在留資格や在留期間等に加えて氏名・住所も記録されるが、これらは印字イメージ等の画像情報として格納され、テキストデータとして直接取得できる構造ではない。

金融機関は実務上、①第二世代在留カードに焦点を絞ってKYCシステムを構築するか、②特定在留カードと第二世代在留カードの双方に対応するため、2重のシステム投資を行うか──という2択を迫られることになる。いま金融機関は、27年4月施行の改正犯罪収益移転防止法を見据えてICチップ読み取りを前提とした対応を進めている。しかし、仕様確定や検証環境の整備は新在留カードの発行時期と必ずしも同期しておらず、移行期に実務上の支障が生じかねない。

今後は、制度開始と民間対応の時間軸を整合させるため、官民の緊密な連携が欠かせない。その際に仕様開示の工程管理や検証環境の早期提供など実務対応の整理を進めることが大切だ。

(大一大万大吉)

週刊金融財政事情 2026年4月28日号