不動産情報サイトを見てみると、利回りが15%や20%、なかには30%を超えるような物件情報があります。都心から1時間圏内の首都圏のアパートだと、利回り6〜7%程度が目安なため、「こんなに高利回り物件があるのか」と驚く人も多いのではないでしょうか。
しかし、投資の世界において「高リターンには高リスクが伴う」というのが基本的な原則です。超高利回り物件も例外ではなく、さまざまなリスクや落とし穴が潜んでいます。
本コラムでは、超高利回り物件が存在する理由と具体的なリスク、購入を検討する際の注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。
超高利回り物件とは?利回り15~20%は本当に「お宝物件」なのか
超高利回り物件には、明確な定義があるわけではありません。首都圏の一般的なアパートの利回り水準(6〜7%程度)と比較して、15~20%、あるいはそれ以上の利回りが示されている物件は、「超高利回り物件」と呼ばれることが多いです。
超高利回り物件は、一見すると破格の好条件に映るかもしれませんが、利回りが突出して高い物件には相応の理由があります。「高利回り=お宝物件」という単純な図式は成り立たないことが多いため、表面上の数字に引っ張られることなく、その背景にあるリスクや実態を確認することが重要です。
超高利回り物件が生まれる理由は「需要が限定的」だから
超高利回り物件が市場に出回る最大の理由は、その物件の購入需要が限定的であるということです。購入需要が限定的であれば、それに伴って売買価格は下がり、同じ満室想定賃料であっても、計算上の利回りは高く見えます。
では、なぜ特定の物件は需要が限定的になるのでしょうか。代表的な要因としては、以下のようなものが挙げられます。
人口減少リスクが高いエリア
賃貸需要の母数が縮小しているエリアにおいては、安定した入居者の確保が難しいため、空室期間が長引きやすくなります。空室期間が長引くと、家賃水準も下落傾向になりやすいという特徴があります。賃貸需要の母数が縮小しているエリアというのは、人口減少が進む地方都市や過疎地域が該当します。
満室を前提とした利回りの計算は、こうしたエリアでは成り立ちにくいと理解しておくことが大切です。
建物のダメージが大きい(修繕負担が重い)
外壁の劣化や屋根からの雨漏り、給排水管の老朽化など、一見見えにくい箇所に大規模な修繕が必要になるケースもあります。こうした物件は、購入後に想定外の修繕費が発生するため、当初見込んでいた利回りから大幅に下落することもあります。
築年数が古い物件ほど、建物の状態を事前に確認することが必要です。
再建築不可など法的・物理的制約がある
再建築不可物件とは、建築基準法上の接道義務を果たしていない土地に建っている建物のことをいいます。かつては適法だった建物でも、法改正により現在の基準に適合しなくなり、建て替えができない物件となるケースがあります。将来的な資産価値の維持や担保としての評価が難しいため、金融機関の融資が付きにくい傾向にあります。
買い手が自ずと限られるため価格が下がり、利回りが高く見える構造になっています。
再建築不可物件について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】再建築不可物件とは?購入する前に知っておきたいメリット・デメリットや確認すべきポイント
心理的瑕疵(かし)など「訳あり」要素がある
過去に事件や事故があった物件(いわゆる心理的瑕疵物件)は、入居者の心理的な抵抗感から募集しても難航しやすく、家賃を周辺相場より大幅に下げなければ入居が決まらないこともあります。
表面利回りの計算に使われている想定賃料が実態とかけ離れているケースもあるため、募集条件の現実性を慎重に見極めることが求められます。
超高利回り物件の落とし穴|「高利回り=高収益」ではない理由
超高利回り物件では、必ずしも表示されている利回りが実際の収益になるわけではありません。実際に投資した場合、想定していた収益が得られないどころか、出費がかさむ結果になることも少なくありません。
具体的にどのような点に注意が必要なのか、代表的なリスクを整理します。
掲載利回りは「満室想定の表面利回り」が前提
不動産ポータルサイトなどに掲載されている利回りの多くは、満室(すべての部屋が埋まっている状態)を想定した年間賃料収入をもとに計算した「表面利回り」になります。しかし、実際には空室が発生すれば想定していた賃料収入は減少します。また、想定より低い家賃でしか入居が決まらなければ、利回りはさらに下がることになります。賃貸需要が弱いエリアでは、満室という前提条件自体が非現実的なケースもあります。
不動産投資における利回りの種類や計算方法、注意点についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
【関連記事】不動産投資の利回りとは?理想は何%か?最低ラインも解説
修繕・リフォーム費用で実質利回りは大きく低下する
築年数が経過した物件では、購入後すぐに修繕や設備の交換が必要になることもあります。外壁補修、屋根防水工事、給排水管の更新、給湯器やエアコンの交換といった費用が重なれば、想定外の支出が一気に発生します。
さらに、入居付けを目的としたリフォームが必要になれば投下資本は増加し、実質的な利回りは大幅に低下します。購入前に修繕箇所を把握し、費用を見積もっておく必要があります。
入居者募集の広告費が収益を圧迫
入居を促すために、仲介業者へADを上乗せして支払うこともあります。ADとは、空室時に入居者募集を強化するために、通常の仲介手数料とは別で所有者が負担する広告料のことです。
しかし、退去のたびにADを上乗せして支払わなければ次の入居者が決まらないような物件では、帳簿上は満室であっても、実際のキャッシュフローは想定より減少します。継続的なAD負担は、長期的な収益性を著しく低下させる要因となります。
不動産投資におけるADの概要や費用相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【関連記事】不動産賃貸仲介のAD(広告料)とは?仲介手数料との違いは?広告の種類と活用方法を解説
出口戦略が描きにくい
超高利回り物件は、購入時と同様に売却時も購入希望者が限られる傾向にあります。もともと購入需要や賃貸需要が弱い物件は、希望した売却価格で売却できなかったり、売りたいタイミングで売れなかったりします。
売却できないまま保有し続けることになれば、固定資産税や維持管理費を負担し続けることになるため、資金効率が大きく損なわれます。投資の出口を見据えた戦略を描けるかどうかは、購入判断において非常に重要な視点です。
それでも超高利回り物件を検討するなら:成立しやすい3つの条件
ここまで述べてきたように、超高利回り物件への投資はリスクが高く、基本的にはおすすめできるものではありません。それでも投資を検討するという場合、一定の条件が整っているかどうかが重要な判断基準になります。
以下では、超高利回り物件の購入を検討しても良い条件を3つ紹介します。
現金購入でき、最悪のケースでも致命傷にならない
融資を活用した投資の場合、空室の長期化や想定外の修繕費が発生したとき、ローン返済との兼ね合いで資金繰りが一気に悪化してしまうリスクがあります。
一方、自己資金の場合は返済負担がないため、損失許容額の範囲内で購入していれば、たとえ運用が想定どおりに進まなくても、致命的なダメージを抑えることができます。
損失が許容範囲内に収まることを確認したうえで投資判断を行うことが、超高利回り物件では特に重要です。
修繕費用を精緻に見積もったうえで、なお投資妙味がある
超高利回り物件を検討する際には、外壁・屋根・給排水管・電気設備・各種設備(給湯器、エアコン等)について、おおよその概算ではなく、実際の見積もりベースで費用をシミュレーションすることが前提となります。
修繕業者に現地を確認してもらい、具体的な金額を把握したうえで、実際に利益が残るかどうかを検証することが重要です。
エリアの賃貸需要を熟知し、客付けのイメージができている
物件があるエリアの賃貸市場を十分に理解していることも、重要な条件のひとつです。想定賃料の根拠、ターゲットとなる入居者層、競合物件の状況など、安定した賃貸需要を事前に掴めているかどうかが問われます。
土地勘も市場理解もないまま、利回りの数字だけを見て購入を決断するのは、最もリスクの高い判断といえます。現地調査や地元の管理会社へのヒアリングなどを通じて、需要の実態を事前に把握することが欠かせません。
(提供:manabu不動産投資 )
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