この記事は2026年6月19日に「きんざいOnline:週刊金融財政事情」で公開された「堅調な企業業績で、日本株は持続的上昇局面へ」を一部編集し、転載したものです。
2026年前半の日米株式市場は、中東情勢の緊迫化に伴う原油高といった逆風下においても堅調に推移した。AI(人工知能)需要の拡大を背景とする企業業績の力強さが株価上昇の主因となっており、とりわけ半導体を中心としたハイテク株が相場を牽引している。
まず米国経済を見ると、マクロ・ミクロの双方で好調さが確認できる。足元では、雇用統計やISM製造業景気指数など各種経済指標が市場予想を上回り、小売売上高も拡大基調を保つなど、原油価格上昇の影響が懸念される中でも企業の景況感や個人消費は堅調な推移となっている。その結果、経済指標が市場予想をどれだけ上回ったか(下回ったか)を示す経済サプライズ指数は急上昇しており、米国経済は想定以上の強さを見せている。
企業業績も同様に良好だ。S&P500のリビジョンインデックス(アナリストの予想が上方修正・下方修正どちらが優勢かを示す指標)は1~3月期決算を受けて大きく改善し、業績予想の上方修正が優勢となっている。半導体などAI関連分野に加え、原油価格上昇を背景としたエネルギーや素材、資本財、金融といった景気敏感セクターにも上方修正の動きが波及し、利益成長の裾野は着実に拡大している。インフレ動向には引き続き注視が必要だが、景気・企業業績の強さを踏まえると「ソフトランディング」への期待は高まりつつある。
特に注目すべきは企業収益性の改善だ。足元では、S&P500の本業ベースの利益率であるEBITDAマージンは上昇基調となっている(図表)。AI活用による生産性向上や高付加価値分野の拡大、価格転嫁の進展などが背景にあるとみられる。過去の推移を見ると、利益率改善が見込まれる局面ではバリュエーションが拡大する傾向が確認できる。今後も米国企業の利益率は一段と高まると予想されており、米国株を評価する余地も広がるだろう。
日本株も業績見通しは良好である。TOPIX(東証株価指数)採用3月期決算企業の経常利益は今期に続き、来期も高い利益成長が予想されており、特に製造業の回復が見込まれる。自動車や鉄鋼の回復に加え、AI・半導体需要を背景に電気機器が牽引し、製造業全般で堅調な業績が予想されている。非製造業も銀行や卸売業を中心に安定した成長が続く見込みだ。
日本株はこれまでハイテク株の主導で上昇してきた。今後は、堅調な企業業績を手掛かりに物色の裾野が広がり、持続的な株価上昇局面へ移行していくと想定している。
大和証券 投資情報部 ストラテジスト/高取 千誉
週刊金融財政事情 2026年6月23日号