本記事は、河田 真誠氏の著書『質問の魔力「よい質問」がすべてを解決する』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
「やる気」は、意志の力で出すものじゃない
「全然やる気が出ない」
誰でもそんな時があると思います。
部下が自律的に動かない。子どもが勉強しない。自分自身も、やらなきゃいけないことになかなか手がつかない。
そんな時、ついこう聞いてしまうことはないでしょうか。
「どうしたらやる気になる?」
でも、この質問にはあまり意味がありません。
やる気は「考えて出すもの」でも「意志の力で出すもの」でもないからです。
僕らはこう思いがちです。「やる気が出たから、行動する」。でも、実際はその逆です。「行動したから、やる気が出る」なのです。
勉強をする気がまったく起きない時は、とりあえず机に座って、参考書の1ページを開き、3分だけでもやってみる。この「小さな一歩」を踏み出すと、「もう少しやろうかな」という気持ちが生まれ、それが継続につながっていきます。やる気は「行動の結果」として生まれてくるものなのです。
なので、もし相手のやる気を引き出したいと思ったら、やる気を引き出す質問ではなく、行動を引き出す質問をします。
例えば、こんな感じです。
× どうすれば、勉強をやる気になる?
→ やる気を引き出そうとする質問
〇 まず、何をしようか?
→ 行動を引き出そうとする質問
やる気を引き出す質問よりも、小さく、具体的に、今すぐできることに絞って質問をしていく。それが「まず、何をしようか?」という質問です。
その最初の一歩に絞って質問する。これも「視点を狭める質問」です。
「向き合う」から「伴走」へ
相手の行動を引き出す質問をするときに、もう一つ大切なポイントがあります。
それが、「相手と自分の向き合い方」です。
「どうすれば、やる気になる?」という質問は、相手と自分が向き合っています。
一方で、「まず、何をしようか?」という質問は相手と同じ方向を見ています。
一緒にやる、一緒に進むというスタンスが、相手の行動のハードルを下げてくれます。
命令や強制、攻撃は人を動きにくくさせ、伴走は人を動きやすくさせます。
だから、質問では、自分の立ち位置をどこに置くかも大切なのです。
不便な点ではなく、どこを変えたいかに視点を向ける
質問が広すぎて、求めている回答を得られないことはよく起きます。
例えば商品を購入してくれたお客さんに対するアフターフォローの場で。
「何か、ご不便な点はありますか?」
と、つい質問してしまうかもしれませんが、この質問には欠点があります。もし明確な不便な点があれば回答を得られますが、特にない場合は何も出てこない点です。
そこでこう変えてみます。「視点を狭める質問」です。
「もし一つだけ変えられるとしたら何を変えますか?」
こう質問をされると、いろいろな意見やアイデアが出やすくなります。
× 何か、ご不便な点はありますか?
〇 もし一つだけ変えられるとしたら何を変えますか?
「視点を狭める質問」をすることで、お客さんにとっては、その商品のことを真剣に考えるきっかけになるのです。
例えば、その商品がTシャツだったとしたら。
「背中のタグが時々外に出てしまうのが気になってたのを思い出した」
「裾丈がもう少し短いとすごくいいんだけど」
あらためてその商品にお客さんが向き合うことで、今後の商品開発や改善のヒントが得られます。これも「視点を狭める質問」のメリットです。
広すぎる質問だと動けなくなる
ここまでも何度も紹介してきましたが、広すぎる質問は人の行動を促しにくい特性があります。
「どうすれば売上を高められるか?」
「どうすればもっとよくなるか?」
質問としては確かに正しい。でも、視点が広すぎます。
そんなときは、あえて視点を絞り込みます。それも極端な絞り込みを。
「無限に予算が使えるなら何をするか?」
「もし予算が10分の1しかなかったらどうするか?」
「子ども向けのものに対して高齢者がそれを使うなら、どう変えるか?」
極端な絞り込みをする質問は、これまでの常識やあたりまえを変えたいときや、新しいアイデアを生み出したいときに役立つ方法です。
ある会社でこんなことがありました。
ある商品の販促予算が前年から20%削られていて、目標売上は同じだったため、目標を達成するのが難しいという雰囲気になっていました。
そこで、僕はその会社のメンバーにこう質問しました。
「もし販促予算が10分の1しかなかったらどうしますか?」
これは意識的に極端な質問をするというテクニックを使っています。
この質問をすると、本当に必要なことは何か、ムダだったものは何かが見えてきます。
逆に「もし無限に予算が使えたら」を考えると、理想が見えてきます。
極端な質問は、思考の幅を広げてくれるのです。
これも「視点を狭める」一つの方法です。
大きな成長をするチームやイノベーションを起こす組織は、極端な質問をよく使います。
「この技術を世界中で使ってもらうにはどうしたらいいか?」
「子ども向けのこの商品を高齢者に売るにはどうしたらいいのか」
極端な質問を考えることで、現実の制約から一度離れ、新しい可能性を見出すことができるのです。
そのほかにも、働き方、夢の叶え方、生き方などの講演やイベントを通じて、延べ10万人以上の人生に影響を与えてきた。高野山での僧侶との出会いをきっかけに仏教を学び、自身も仏道に入る。自身が考案した質問のノウハウを広めるべく、質問を使ったコンサルタントの育成や、起業家支援、ビジネスモデルのプロデュースにも力を入れている。
主な著書に『君を一生ささえる「自信」をつくる本』(アスコム)、『売らずに売れる技術』(ワン・パブリッシング)、『革新的な会社の質問力』(日経BP)、『人生、このままでいいの?』(CEメディアハウス)などがある。
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