紙商社最大手のKPPグループホールディングスが国内外でM&Aのアクセルを踏み込んだままだ。その件数は2022年に持ち株会社制に移行して以降、30件近い。今年もすでに7件のM&Aを手がけている。
単なる規模拡大が目的ではない。デジタル化やペーパーレス化の進展で世界的に紙需要が縮小に向かう中、産業用の包装資材(パッケージング)や、ビジュアルコミュニケーション関連の屋外広告・看板、室内装飾資材といった成長領域へのシフトなど、事業ポートフォリオの転換に向けてM&Aを重ねてきた。
海外M&Aの第一弾、豪の同業大手を傘下に
KPPグループホールディングスは傘下に中核子会社として、国際紙パルプ商事、アンタリス(フランス)、スパイサーズ(オーストラリア)の3社を置く。
日本をはじめ北東アジア(中国、韓国、台湾)は国際紙パルプ商事、欧州・米州(主に南米)はアンタリス、アジア・太平洋(オセアニア、東南アジア、インド)はスパイサーズが受け持つ。こうしたグローバルでのグループ体制を実現する原動力は他でもないM&Aだ。
ハイライトが訪れたのは持ち株会社であるKPPグループホールディングスを発足する以前の2019年。当時の国際紙パルプ商事がオーストラリアの同業最大手のスパイサーズを約73億円で買収した。
実は、国際紙パルプ商事は前年の2018年に東証1部に新規上場したばかり。1924(大正13)年の創業から100年近い業歴を持ち、売上高も3000億円を超える存在だっただけに、上場していないことの方がむしろ意外だった。
株式上場を起点に、内需対応型の経営戦略を見直し、海外事業の加速と積極的なM&A展開に舵を大きく切った。その第一弾がスパイサーズの買収だったのだ。
スパイサーズは紙・包装資材やサイン・ディスプレー(広告・看板、ポスターなど)関連製品を取り扱い、買収時の売上高は約300億円。
欧州最大の紙商社「アンタリス」を買収
翌2020年には欧州最大の紙商社のアンタリスを買収し、グローバル企業としてのパスポートを手にした。アンタリスは欧州を中心に、南米、中国・アジア・太平洋地域を含めて世界40カ国以上で事業を展開し、当時の売上高は約2500億円。
ただ、買収金額は約13億円にとどまった。というのも、同社の持ち株会社の破産手続きが進められるなど経営混乱に陥っていた事情がある。
アンタリス、スパイサーズの両社をグループに取り込んだのを受けて2022年10月にKPPグループホールディングスを設立した。ライバルの日本紙パルプ商事に代わって、紙商社で売上高トップに立ったのもこの年。持ち株会社制移行を号砲に、堰を切ったようにM&Aが次々と繰り出されるようになった。
その数は25件を超えるが、半数はアンタリスが主導する欧州案件。同社の本社があるフランスをはじめ、買収先はドイツ、オランダ、イタリア、スペイン、ポルトガル、ポーランド、チェコ、クロアチア、バルト三国など欧州一円に及ぶ。