内閣府は1月13日、好不況に敏感なタクシー運転手などを対象に行う「街角景気調査」の結果を公表し、景気の現状判断が5カ月ぶりに改善したことを明らかにした。景気の先行きについて指標として注目されている調査で明るい兆しが観測された格好だ。世界的に議論を呼ぶ原油安や欧州、新興国経済の停滞など、先行きを不安視する材料もあり、今後の経済動静を注視する必要がまだまだありそうだ。
同調査が行われたのは昨年末の12月25日~31日で、直近の動きが反映されているといえる。結果によれば、「現状判断DI」が前月比3.7ポイントプラスの45.2ポイントなった。前月に比べて改善したのは、5カ月ぶり。ほかにも、家計・企業の動向、雇用の指標も併せて上昇した。
また、同調査で明らかになる景気の先行きについての大きな指標となる「先行き判断DI」も改善。前月比で2.7ポイント上昇し46.7ポイントと、7カ月ぶりの改善を記録した。現状判断DIと同様に、家計・企業の動向、雇用についても改善がみられた。
同調査を踏まえ、明るい見方も幾つか示されている。三井住友アセットマネジメントは「円安などを背景に企業業績は増益基調が続くと見られ、景況感のさらなる改善が期待され」、政府の経済見通しでは、2015年度の実質経済成長率が1.5%となることを指摘しながら「輸出の堅調さに加えて、雇用・賃金の改善などにより個人消費の回復が期待される」との見方を示した。
他方で、不安材料がないわけではない。例えば、世界銀行(世銀)は13日に公開した2015年の経済見通しで、日本経済の2015年の成長率を1.2%と前回の予測値よりも0.1%引き下げている。消費増税の影響による景気低迷や、輸出と実質賃金の伸び悩みなどの懸念が数値に反映された格好だ。
国内経済の外部環境も不安定化しており、目が離せない世銀の'15年の経済見通しでも、欧州経済の停滞や中国など新興国の成長鈍化などの影響が日本経済にも及ぶ可能性もあり、予断を許さない状況だ。
昨年末の経済指標でも、見通しのはっきりしない動きが続く。昨年12月に発表された消費者物価については、総合指数が前月比で0.4%の下落。日銀が掲げる物価上昇率2%の目標に向けては足踏みした形だ。さらに、総務省が公表している家計調査においても、消費支出が下落する傾向が目立っていた。
今回の街角景気調査で得た先行き判断への明るい見通しに、家計調査などで示される消費動向が追随して上向くかなどに引き続き注目が集まりそうだ。
(ZUU Online)
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