増税もなんのその、業績絶好調のヤオコー

埼玉を拠点に関東一円にて事業を展開するスーパー大手の「ヤオコー」 <8279> の業績が非常に好調だ。2月に発表された第3四半期決算によれば、連結営業収益は12.7%増の2,307億円、営業利益も17.7%増の128億円と、いずれも前年同期比で増加している。

他のスーパーと比べてみても好調さが際立っている。消費税増税直後の昨年4月、スーパー業界全体では2.9%減となったがヤオコーは1.5%増を達成。その後も業界全体よりも5~7%高い成長率となっている。消費税増税で落ち込みを見せる流通業界だが、ヤオコーはまるでその影響を受けていないようだ。

店舗数では140店舗と、2,000店舗近くを有する業界大手のイオンには遠く及ばないが、そんなイオンも低迷する中、好調なヤオコーの強さの源泉はどこにあるのだろうか。

ヤオコーの強さはパート社員のやる気にあり

ヤオコーが得意とするのは「提案型の売り場づくり」である。店舗ごとのメニューや食材提案、休憩スペースの提供、下ごしらえサービスなど多岐に渡る。価格で競争するのではなく、とりあえずスーパーに行って今夜のメニューを考えようという時や、さらに一品付け加えたいという場合に非常に有効だ。そのため、価格に敏感な若い世代ではなく、生活に余裕のある中高年層に受けている。実際に60代以上の世代は消費税増税後も消費意欲は落ちていないという。

鮮度感ある提案型の売り場を展開するため、ヤオコーでは現場で働く社員やパート社員への権限委譲にも積極的で、そこが最大の特徴になっている。チェーン展開をしていながら、各店舗の店長に大きな裁量があるのだ。

マニュアルに沿った経営ではなく、現場のパート社員である女性に権限を委譲すると、メイン顧客と同じ主婦目線であるため、顧客のニーズをつかみやすいというメリットがある。ヤオコーでは創業時からパート社員と正社員とをできるだけ区別なく同じように扱い、権限を委譲している。

たとえば店舗内に設けた「クッキングサポート」といわれる調理を実演するコーナーでは、パート社員自らがメニューを考案して顧客に提案し、レシピを配布することで販売につなげている。またパート社員にも年2回の賞与があり、決算時には決算賞与もある。優秀なパート社員は社内で表彰し、海外研修旅行を付与するなど、パート社員のやる気を促す人材活用を積極的に行っている。

FPSで顧客の声をダイレクトに収集

さらに他のスーパーでは珍しいFPSを活用した「座談会」を開催している。FPSとはフリークエント・ショッパーズ・プログラムといわれ、店舗に貢献してくれる顧客を貢献度に応じて優遇するプログラムのこと。買い物をするとポイントが付与されるというよくみられる仕組みも、このFPSの考えを活用したものだ。

ヤオコーではFPSを活用し、優良顧客を自社で開催する座談会に招いて顧客の意見を取り入れている。顧客の声を直接収集している大手のスーパーは多いが、100店舗の規模で座談会を開催しているスーパーはほとんどないだろう。座談会を開催するだけでなく、座談会終了後にはPB商品を渡し、「ファン」づくりも積極的に推進している。

現場の売り方は、現場に聞くのが一番早い。マニュアル経営ではなく、現場社員の力を信頼して権限を委譲し、顧客の声をていねいに拾うことが、この不況下でもヤオコーが勝ち組でいられる理由だろう。今後も成長を続けるであろうヤオコーから目が離せない。(ZUU online 編集部)