オフィスの自動販売機で飲み物を買うと、スロットマシンみたいに3桁のデジタルの数字が回る。7が3つ揃えば「当たり」でもう一本無料でもらえるのだ。必ず最初の2桁は7が2つ揃う。「おおっ!」と期待して3桁目を待つと、たいてい6か8だ。
「ちぇ、バカにしてやがる」と思っていたら、先日7が3つ並んだ。誰かに見せたくて、「おーい、誰かいないか?当たりが出たんだよ!」と廊下で叫んだが、そういう時に限って誰も通らない。諦めてボタンを押したものの、自販機はうんともすんとも言わない。当たってから30秒以内にボタンを押さないと無効になってしまうのだ。せっかく当たった「当たり」を取り損ねてしまった。
「半ツキ」という言葉がある。文字通り半分だけツイている状態をいう。例えば、麻雀などですごく良い手が入るのにアガれないで勝ちを逃す。勝ちを逃すどころか終わってみれば大負けする。なまじ良手が入るしツモもいいので降りられないからである。「半ツキ」は「負け」。これはどんな勝負事についても言える真理であろう。勝負事はアガってナンボ、最後に締めて浮く(プラス)かどうかがすべてである。
株式投資でも、「いつまでも あると思うな 含み益」という格言(?)があるくらいだから、利益確定が重要である。利食わない限りは、本当に儲けたことにならない。ところが、この利益確定のタイミングが難しい。
「損切りは早く、利食いはゆっくり」が金科玉条だが、普通の人はこの逆をやる。下がった場合は損切りが遅れて塩漬けにする。一方、上げ相場では早く降りてしまって儲けを取り損なう。東証発表の投資主体別売買動向によると外国人投資家が3週連続で買い越す一方、個人は3週連続で売り越しだ。ちょっと相場が上がるとすぐ売るのが「習い癖」のようになっている。
日経平均の3月末の値を2万50円と予想していた。かなり高い値だ。3月に入って日経平均は上昇に弾みがつき、ぐんぐん上がった。3月末の2万円乗せも見えてきた。ところが年度末にかけて急落、あと少しでつかみかかっていた「当たり」が目前で消えた。こういうのも「半ツキ」というのだろう。4月28日の日経平均の終値は2万58円。「半月」ならぬ「ひと月」違いだ。
広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券
チーフ・ストラテジスト
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