国内製薬メーカー大手の武田薬品工業 <4502> は5月15日、2015年3月期の決算を発表し、米国での糖尿病治療剤の訴訟の対応費用の支払いの影響で1500億円に迫る赤字を計上することを明らかにした。

発表によれば、 同社の今期の売上収益は1兆7778億2400万円で前年同期比で5.1%の増加。これに対して、営業利益は1292億5400万円の赤字、税引前利益でも1454億3700万円の赤字となった。それに伴い、当期利益も1430億3400万円の赤字という結果に落ち着いた。

また、武田薬品では今期、米国内で2型糖尿病治療剤「ピオグリタゾ」が膀胱がんを誘発しているとして提起された訴訟に対応。製造物責任を問う同訴訟において、大多数で和解に向けた合意に至ったことからその費用と、まだ和解の見込めない原告の訴訟への対応費用などとして、3241億円の損失を引き当て計上した。巨額の訴訟費用の計上が決算にも響いたとみられる。

他方で、同社の中核事業の運営は安定。国内事業について「薬価改定および後発品の浸透による減収を吸収できず、3.6%の減収となった」と分析。海外事業については、「米国でベルケイド、デクスラントなどの売上が好調に推移したほか、「ブリンテリックス」、「エンティビオ」などの新製品の寄与や為替レートが円安となった影響などにより、11.2%の増収となった」と同社はコメントしている。

ただ、同社は、実態としては成長しているとみている様子で、「対前期での実質的な売上収益の成長率は2.8%のプラスとなった」としている。次期の業績予想についても、売上収益 1兆8200 億円、営業利益が1050 億円、税引前当期利益が1150億円との見通しを示すなど、楽観的な見方が示されている。次期の利益についても、同社は680億円になるとの見通しを示しており、赤字からの脱出できるとの見方が強い。(ZUU online 編集部)

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