2008年からスタートしたふるさと納税。ご当地ブランド肉や地酒など地方自治体の特典や特産品を受け取ることができ、所得税・住民税からふるさと納税した金額を一定の条件のもとに控除できるとあって、利用者は年々増加している。2015年4月の税制改正で、その制度変更が行われた。利用者にはメリットが増す今回の改正のポイントを確認し、ふるさと納税をお得に利用しよう。
ふるさと納税のおさらい
まずは、ふるさと納税について、以下のような特徴があげられる。
1.ふるさと納税した金額が、所得税・住民税から控除される
2.好きな地方自治体に寄付できる
3.複数の地方自治体に寄付できる
4.その地域の特典や特産品を受け取ることができる
5.税金の使い道を選べる
本来、税金は、国や自分が住んでいる地方自治体に納めるべきである。しかし、ふるさと納税を利用して、自分が住んでいる地方自治体とは別の自治体に納税(寄付)した場合、その金額が所得税・住民税から控除される。
控除金額は、年収や家族構成によって異なるが、年収が高い人ほど、また子供がいる家庭よりも夫婦共働きや独身者の方が、税金の控除金額が大きい。また、自分の出身地や子供の頃に育った地域に限定されず、どこの地方自治体にもふるさと納税ができる。
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ふるさと納税、年収別の控除金額がアップ
ふるさと納税を利用する際に気になる点は、実際どのくらい税金控除が受けられるのか、そして、手続きは煩雑ではないのか、ということであろう。2015年の制度改正では、このボトルネックとなっていた2点について変更が行われた。
住民税のおよそ1割だった控除金額が2割になり、控除される金額が倍増した。総務省の試算によると、扶養家族が配偶者のみの給与所得者について、年収が300万円の場合の控除限度額は1万2000円から2万3000円に、年収500万円の場合は3万円から5万9000円に、年収700万円の場合は5万5000円から10万8000円に拡大された。
実際どのくらい控除されるかは、年収や家族構成によって異なるため、事前に確認しておきたい。総務省のふるさと納税ポータルサイトには、寄付金控除額の計算シミュレーションができるページが用意されている。ぜひご自身の収入パターンで計算してみてほしい。
住宅ローン控除や保険料控除を考えずに計算すると、年収1000万円で、扶養家族が配偶者のみの給与所得者の場合、17万円のふるさと納税をすると、基本自己負担分2000円を除く16万8000円が税金控除となる。各地方自治体が用意する数ある特典や特産品は、税金控除されない自己負担分2000円の価値を超える物も多いため、大変お得といえるだろう。
一方、年収500万円で、同じく扶養家族が配偶者のみの給与所得者の場合、17万円のふるさと納税をすると、7万9,453円しか税金控除されず、自己負担分が9万547円(基本自己負担分2,000円分を含む)に増えてしまう。
年収500万円の人は、5万9000円までのふるさと納税なら、基本自己負担分2000円のみで、5万7000円が税金控除となる計算だ。ふるさと納税を賢く利用するには、自己負担分が増えない範囲内で寄付を行うことがポイントになる。
所得税・住民税非課税の人にはデメリット
ふるさと納税は、あくまでも税金を支払っている人が利用すると、税金支払い分からある程度の控除が受けられるという仕組みである。所得税や住民税を支払っていない人にとっては、そもそも控除を受ける税金がないため、ふるさと納税をしたとしても1円の節税にもならない。 つまり、ふるさと納税を10万円分したとするならば、所得税や住民税を支払っている人ならば、最大98,000円分の税金が控除されると言うメリットがあるが、それらの税金を支払っていない人にとっては、(もちろん特産物や商品券などの特典はあるものの)ただ単に10万円分のお金を支払ったことにしかならないのだ。
確定申告が不要に
今までは、税金控除を受けるために、ふるさと納税をした翌年に自分で確定申告を行う必要があったが、今回の改正により、5つの地方自治体まで確定申告が不要となる「ワンストップ特例制度」が導入された。確定申告をする代わりに、ふるさと納税した自治体ごとに、指定の申請書を郵送するという手続きを行う。これにより、納税した自治体が居住地の自治体と連携をとり、翌年の住民税を控除してくれる仕組みだ。
これが適用されるのは、医療費控除がないなど、もともと確定申告が不要であること、2015年1月1日から3月31日までふるさと納税を行っていないこと、1年間の寄付先が5自治体以下であること、という条件を満たしている必要がある。
控除枠の拡大、そして手続きの簡素化により、さらに利用しやすくなったふるさと納税。税金の控除だけではなく、各自治体から届けられる特典や特産品を選ぶのも楽しみのひとつだ。今まで利用したことがなかった人も、これを機にぜひふるさと納税を検討してみてはいかがだろうか。(ZUU online 編集部)
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