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豪準銀Lowe、豪ドルLower?

■ポイント
・先週金曜は、米経済指標の下振れを受けてドルが全般的に下落する局面があったも。っとも、発表前のドル上昇、発表後もドルが程なくして反発しており、前日比ではドルは概ね堅調となった。
・ドル/円は、120円丁度手前まで上昇していたが、米指標の下振れで元の119円台前半へ反落。
・豪ドル/米ドルは軟調となった一方、ユーロ/ドルは唯一ドル安が強く効いたかたちで上昇。
・本日は、RBA副総裁が最近の豪ドル高に対して牽制発言を行う場合の豪ドル安リスクがある。他方、ユーロはドイツ国債利回りの動向次第の展開となりそうだ。
・ドル/円は特段の材料がない中で、119円台半ばでのレンジ取引が続きそうだ。


昨日までの世界:米指標下振れでも案外底堅かったドル

ドル/円は、特段の追加材料がない中でドル高が進行し、119.20円近辺から一時119.93円へ上昇、13日の米小売売上高発表前の水準を回復していた。もっとも、その後発表された米経済指標が軒並み市場予想を下回ったことから、119.19円とほぼ朝方の水準へ反落した。

米経済指標では、5月NY連銀製造業景況指数は3.09と、前月の-1.19からは改善したが市場予想の5.0に届かなかった。4月鉱工業生産も前月比-0.3%と予想外のマイナスとなった。鉱工業生産の下振れは前月計数の上方修正(-0.6%から-0.3%へ)が主因だが、いずれも鈍化していた米製造業の回復が緩やかであることを示す結果だった。5月ミシガン大消費者信頼感速報は88.6と、前月および市場予想(95.9)を大きく下回った。車社会アメリカにおいて消費者センチメントへの影響が大きいガソリン価格の上昇が一因として挙げられている。

ユーロ/ドルは、欧州時間はドイツ10年債利回りが低下基調となったことから軟化し、1.14ドル丁度近辺から一時1.1324ドルへ下落した。もっとも、その後の米経済指標の予想比下振れを受けて大幅反発し、1.1467ドルへ上昇、直近高値の更新が続いている。

ユーロ/円もユーロ/ドルとほぼ同様の動きとなり、136円丁度前後から欧州時間に一時135.70円へ軟化した後、136.82円へ大幅反発、1月22日以来の高水準となった。

豪ドル/米ドルは、東京時間朝方にNZドルの下落につれて0.8080ドル近辺から0.80ドル台半ばへ下落した。世界最大の乳製品輸出会社であるフォンテラ(ニュージーランド企業)が、乳製品の供給見通しを下方修正したことから、NZ経済にも悪影響が及ぶとの懸念が高まった。その後も全般的な米ドル高地合いを背景に一時0.7997ドルへ続落した。その後、米経済指標の悪化を受けた米ドル安により、0.80ドル台半ばへ反発する局面がみられたが、上値は重く、その後も軟調が続いた。

豪ドル/円は前日の反落以降のじり安傾向が続き、96.3円近辺から95.8円へ軟化した。


きょうの高慢な偏見:心理と行動の乖離は続くか?

ドル/円は、重要材料が少ない中で、119円台半ばを中心とした方向感のないレンジ取引が続きそうだ。なお、本邦機械受注統計が発表されるが、もともと振れが大きい統計で、かつ日銀の金融政策との関連性が低いとみられることから、為替相場の反応は限定的となりそうだ。

豪ドルについては、Lowe・RBA副総裁発言(8:30)が注目される。これまでの豪ドル高は回復が鈍い豪州景気にとって望ましくない中で、RBAは豪ドル高牽制、豪ドル安誘導を行う可能性が高く、豪ドル安要因となりそうだ。先週以降、上昇一服感がある鉄鉱石価格が明確に下落する場合も、豪ドル押し下げ要因となる。

ユーロは、引き続きドイツ10年国債利回り動向が焦点となる。先週のように米経済指標の悪化時には米利回りと同時にドイツ利回りも低下する傾向があるが、本日は米国の材料が少ない中でもドイツ利回りが低下するようだと、利回り上昇一服・ユーロ高一服というセンチメントを強めやすくなりそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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