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(写真=Thinkstock/Getty Images)

「底なし沼と普通の沼はどう違う?」「底がないか、あるかですか?」「底がない沼なんてない。ようは人間の幻想の有無なんだ」(森博嗣「誌的私的ジャック」)

6月末はヘッジファンドの中間決算。そのタイミングで解約するには45日前に通知する必要がある。だから5月の半ばまではヘッジファンドの決算対策に絡む手仕舞い売りで相場が荒れやすい。これは、市場でまことしやかに言われている「通説」である。

しかしこの「通説」、ちょっと考えればおかしいことが分かる。ヘッジファンドがポジションを手仕舞うのは、顧客の解約通知を受けてからということだが、毎年このタイミングで投資家がヘッジファンドを解約しなければならない理由がない。

最も違和感を感じるのは「中間決算」だ。日本の上場企業ですら今や四半期決算が当たり前になっている。「中間決算」は昔、3月9月で半期決算をやっていた時代の名残である。どうして海外の大手ヘッジファンドに「中間決算」なるものがあるのだろうか。

ファンドの決算というのは分配金の支払いなど費用を精算し損益を確定させるためのものだ。そのため日本の毎月分配型投信は毎月決算を行っている。一方、ヘッジファンドは頻繁に分配金を払う必要もないし、余計な経費をかけたくないので決算は年1回が普通である(決算をすれば監査法人などの費用がかかる)。年末の決算間近では成功報酬確保のため、パフォーマンスを固めようとポジションを手仕舞う動きがある程度は出るかもしれない。しかし、5月半ばという時期の手仕舞い売りには理由がない。

この「通説」は、ファンドが設定・解約を受け付ける「窓開け」のタイミングとファンドの決算、ヘッジファンドを運用する会社としての決算、成功報酬確定のための手仕舞い、そんなものが全てごっちゃになって誤解の上に誤解が重なってできた「都市伝説」のようなものだろう。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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