孫正義
(写真=Getty Images)

ソフトバンク <9984> の孫正義代表は、5月11日の決算会見で、元Google最高幹部のニケシュ・アローラ氏を後継者にすることを明言した。実は孫氏は2010年、後継者育成を目的に設立したソフトバンクアカデミアの開校記念講演の中で、「自身の後継者にふさわしい人材の資質」について具体的に語っていたのだ。


孫氏が後継者に求める条件とは

前記の講演において、孫氏は聴取者に問いを投げかける形で議論を深める手法をとった。孫氏がリーダーの心構えをとして掲げたのは、「孫子の兵法」にあるリーダーの「五つの条件」、「智信仁勇厳」の五つの文字の解釈だった。

最初の「智」は、グローバルな交渉力やプレゼン能力、ITテクノロジーに対する理解力、ファイナンス世界の深い理解力、分析能力、分析力などを意味するという。

特徴的なのは、「信」「仁」に関する見解だ。同志的結合には「信義・信念・信用」に加え、そこに「人々の幸せのため、人々への仁愛のため」という底流を、ことさらに重視している。また、「勇」では、特に「退却の勇気」の大切さを説いた。

そして「厳」。ここでは孫氏の講演をそのまま引用しておきたい。

「厳しい、泣いて馬謖を斬ると。本当に仁愛があって、本当に深い愛情があって、初めてできることです。単に冷たいやつが厳しいということでは、部下はついてこない」、「無茶苦茶厳しくても、無茶苦茶ボロクソ言われても、心の心底に、あの人は誰にも負けない愛情がある、深い仁愛があるという人だったら、たとえその時無茶苦茶ボロクソに言われても、愛のムチとしてそれはむしろ部下を鍛える、組織を鍛えることになるということですね」


アローラ氏の華麗すぎるプロフィール

ここで、孫氏が求める「後継者の条件」はひとまず置き、アローラ氏のプロフィールを確認しておきたい。

1968年2月にインドのウッタル・プラデーシュ州ガーズィヤーバードで誕生したアローラ氏は、1989年に電気工学学士となった後に渡米。ボストン大学で理学修士号、ノースイースタン州立大学でMBAとともに、証券投資の専門知識に関する資格であるCFAを取得した。

ドイツテレコム傘下のTモバイルで欧州事業のCMOや取締役を務めるなど通信業界のアナリストとして活躍した後、2004年にGoogleに入社。2009年には営業、マーケティング、戦略の最高責任者を務めている。ちなみに、2012年の氏の年俸は、現金と株式で5100万ドルだったという。