根強い「古来の価値観」

ところで、今や世界企業となったソフトバンクだが、発足当時には文字通り「ソフトウェアの卸売業」だった。実際、1981年に設立された日本ソフトバンクは、上新電機 <8173> との間にソフトウェア卸売契約を締結している。

大方の予想を裏切る形で同社は発展を続け、1990年には現社名に変更。1994年に株式を店頭公開した資金を元手に、M&AやIT関連企業への投資などを積極的に行う企業へと急成長していった。

これまで見てきたとおり同社を率いる孫氏の哲学は、そのきわめて現代的な発展形態とは裏腹に、実に古典的な価値観に支えられている。その一途とも言える価値観が、現代の象徴とも言える華麗な経歴を持つアローラ氏の心を動かしたことには、何とも感慨深いものがある。

注目される今後の展開

2014年7月、Google を退社したアローラ氏は、ソフトバンクのバイスチェアマンとして、米SoftBank Internet and Media(SIMI)のCEOや米Sprintの取締役を兼務する。

孫氏の口説き文句が「Let’s try!」だったことは逸話になっているほどだが、孫氏のアローラ氏に対する信頼は半端ではない。今や社長、副社長の間柄ではあっても、まるで友人のように毎日連絡を取り合っても、何ら苦痛に思われないという。

孫氏とアローラ氏という絶妙な組み合わせが、今後のソフトバンクにどのようなナビゲーションを提供していくのか。いよいよその展開に興味をそそられる。(ZUU online 編集部)