マネタリーベース残高が9ヶ月連続で過去最高を更新し、4月末には初めて300兆円を超え、305兆8771億円となったことが明らかになった。このマネタリーベース300兆円超えが意味するものは何なのだろうか?
2年で倍増! ほとんどは日銀当座預金残高の増加
日本におけるマネタリーベースとは、日本銀行が供給する通貨であり、具体的には日本銀行券発行高、貨幣流通高そして日銀当座預金の合計額のことを指す。
今回初めて300兆円を超えたマネタリーベースであるが、量的緩和が始まった2年前、2013年4月末のマネタリーベース残高155兆円と比較してほぼ倍増したこととなる。2年間で2倍という増加速度に驚かされるかもしれないが、マネタリーベースを2年で2倍にすることは黒田総裁就任時の目標であったため、日銀としては予定通り増加させたということになりそうだ。
この2年間のマネタリーベースの増加額、約150兆円の内訳を見ると、日銀当座預金の増加額が145兆となり、そのほとんどが日銀当座預金の増加であることがわかる。マネタリーベースの増加が即、市中に出回っている現金(「日本銀行券発行高」と「貨幣流通高」の合計である「流通現金」)の増加を意味するわけではない。
日銀の政策の効果
マネタリーベースを増やす日銀の政策は、もちろん消費者物価指数(CPI)の上昇を目指すものであるが、インフレ予想による実質金利(名目金利からインフレ予想をマイナス)の低下が株高・円安をもたらすともされる。
そうした株高・円安については一定の効果が出ていると見てよさそうだが、「デフレ脱却」を目指す日銀が目標としたところの「2%の物価上昇率」の達成については、その時期が先送りされた。4月30日、日銀は2017年までの見通しを示す展望レポートを公表し、2016年度までの従来の物価見通しを下方修正、2%の物価目標達成時期も2016年度前半
頃としている。