2014年世界を震撼させた感染症のエボラ出血熱は、最も多くの死者が出た西アフリカのリベリアで今年5月に入り、世界保健機関(WHO)が終息宣言をした。
一時、欧米でもエボラ出血熱による死者が確認され、世界のマーケットにも多大な影響を及ぼしたが、事態は小康状態に向かいつつある。
韓国経済を襲うMERS感染
しかし、今度は日本のお隣、韓国で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウィルスの感染が拡大し、これまでに感染者は172人、27人(6月22日時点 )が亡くなった。流行する感染症に対し、韓国への渡航を自粛する動きが広がるなど、同国の経済への影響も出始めている。
韓国でMERSによる死亡者が出たのが6月に入ってからだ。この時亡くなった2人は、病院内で中東から帰国した最初の感染者と接触したことによる三次感染で、韓国政府も院内感染とし、感染の拡大は限定的との見方を示していた。しかし、その後も感染者は拡大し、犠牲者は増え続けている。
相次ぐ旅行キャンセル
こうした事態を受け、5月31日から6月12日の2週間ほどの期間で、韓国航空会社の国際線予約のキャンセルが17万4,000件に上り、6月以降の外国人による韓国旅行の取りやめは11万人を超えたという。
WHOは韓国の状況について緊急事態宣言は見送ったものの、韓国側との合同調査結果で感染者が今後も増える可能性を指摘し、初期段階での情報公開の遅れが感染拡大の原因とした。