利下げで消費刺激策を取るも効果薄い
社会不安が広がる韓国では、経済への影響も懸念されている。MERS問題が発生する前から深刻化している韓国経済、すでに円安ウォン高による輸出競争力が低下や中国の景気減速の影響から、5月の輸出額は前年同月比で10.9%減となり、今年最大の下げ幅となった。
そこで中央銀行にあたる韓国銀行は6月に入り政策金利を0.25%引き下げ、過去最低水準の1.5%とすることを決定。MERSにより消費が控えられていることから、利下げを通して消費を刺激したい考えだ。
しかし、韓国の家計部門の債務超過は、英エコノミクスがアジア主要国の中で最も深刻と指摘し、昨年末に債務超過額は約118兆円を突破して、国内総生産(GDP)比で80%台に達している。
韓銀の利下げに加え、政府の不動産融資の借り入れ規制緩和により、住宅購入の動きが進み、家計の負債残高増加に拍車がかかる可能性がある。
MERS対応を誤ると…
韓国経済は日本と同じくサムスンを筆頭に輸出で稼ぐ構造で、その主な輸出先となるのが中国だ。しかし、その中国も2ケタ成長を続けていた時代は終焉を迎え、7%前後の成長率で落ち着く「ニューノーマル」に突入した。
中国経済の減速により、輸出にブレーキがかかり、供給過剰としてそのまま韓国に跳ね返ってくる。この過剰分を内需の喚起によって調整しようにも、高い家計の債務残高に加え、MERSが引き起こす社会不安によって、消費が冷え込んでいる中では先行きは明るくない。
韓国政府はMERSの抑え込みに躍起になっているが、一歩対応を誤ると、その影響は単なる感染症の拡大にとどまらず、韓国経済全体にも波及する危険性が潜んでいる。(ZUU online 編集部)
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