(写真=PIXTA)
「日本には1200兆円ぐらいの負債がある。これをどう返すのかという議論がたびたび出ますが、日本以外に返している国はありません。借金は、返さなければならないというのが日本ならではの考え方なのです」
確かに我々日本人は「日本の国民一人あたり◯◯◯万円の借金を抱えています」と言われると、個人でそれを返済しようと考えてしまい、無理だと考えてしまう。そして、将来が急に不安になり、国家が破綻してしまうのではないか、とまで思いつめる人も出てきてしまうものだ。
「しかし、他国には償還ルール自体が全く存在しません。国債を1回発行して永遠に借り換えている状態です。むしろ、返している国などどこにもありません。言わば他の国は60年償還ルールではなくて、60世紀償還ルールです。基本的には金利負担分だけ払っていって、残りは永遠に借り換えしていくというのが普通の経済の状態です」
会田氏の説明を聞いてとても安心したが、日本は実際に返済をバランスシート上で行っているのでは無いのだろうか。
「日本の歳出のところに国債費の項目がありますが、この中に債務償還費が入っています。他の国で債務償還費が入っている国はありません。なぜなら返さないからです。」利払いだけというのが他国のやり方のようだ。
「日本がさらにおかしいのはここで債務償還費を13兆円計上しながら、オフセットしても関係ないことですね。実際には60年償還ルールってほとんどワークしてないのです」
戦前にそうしていたということもあり、日本では1970年代に初めて国債を発行する時に、60年償還ルールでも付けないと買ってくれないだろうという予想で60年償還ルールを付けたのだが、他の国で付けてる国はない。
「実際にアメリカの予算でも右側の歳出となっており、利払費をグロスではなくネットにしています。日本はもちろんグロスで買い取ります。アメリカというのは財政をとてもよく見せるテクニックがある反面、日本は日本の財政を悪い書き方をしています」
しかも60年償還ルールという、世界に例を見ない異質な財政運営をしているので、見た目上財政が相当悪いように見えてしまう。それにより余計に日本経済の財政が悪いとインターネットで叩かれているので、もったいないことをしているのが、今の日本の形ではないだろうか。
「他の国は、60年償還ルールではありませんし、1200兆円、どうやって返すのかというその考え方自体が普通財政の議論にはないものです。日本は自国の財政の本当の姿を正確に見せた方が良いと思います」(ZUU online 編集部)