(写真=PIXTA)
中国で株価が急落してきた。中国株の代表的株価指数である上海総合は6月に前月末比7.3%下落と大きく下落した。6月12日までは急伸を続けていたものの、それをピークに急落し、そのピークから29日までの下落率は2割を超えた。これまで下値をサポートしてきた移動平均線(55日)を割り込み、上昇相場は一旦終了したと思われる。
急落の原因は様々挙げられているが、主に3つあると思われる。
第1に中国政府が株価高騰に警戒感を強め「場外配資」と呼ばれる信用取引制度外の株式投資向け融資の規制に乗り出したこと。第2に相場急落で損失を被った投資家の自殺が報道されてセンチメントが急激に悪化したこと。第3に住宅価格が反転するなど景気に改善の兆しが現れる中で、これまで最大の買い材料だった“追加景気対策”への期待が萎んだことである。
そして、信用取引の買い残を抱えた投資家は、相場下落で「追証」を求められ、換金のための売りがでて、売りが売りを呼ぶ展開となった。
今後を考えると、相場が短期間に急落したため、高値掴みした買いポジションが溜まったと見られ、相場が戻せば大量の売りがでる可能性が高く(所謂「やれやれ売り」)、乱高下が続きそうである。しかし、上海総合の現水準は株価収益率(PER)が20倍程度と割高感はほぼ解消している。
また、これまでの「追加景気対策」が奏功して景気が上向けば、企業業績などファンダメンタルズが改善してくる。従って、上期の業績が公表される8月までは下値に不安が残るものの、その後はファンダメンタルズの改善に伴って相場が緩やかに上昇する「業績相場」になる可能性もある。今後はファンダメンタルズが改善するか否かに注目したい。
三尾 幸吉郎
ニッセイ基礎研究所 経済研究部
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