先週発表された主な経済指標

◆8月1日 中国製造業PMI 7月 50.0 市場予想 50.1 前月 50.2

7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.0と、市場予想の50.1を下回り、前月から小幅に悪化しました。

俯瞰してみると、5か月連続で好不況の判断の節目となる50を上回ったものの、高温や豪雨など天候の影響や、原材料輸入価格の低迷、国内外の需要の減少などが悪化要因となったと見られます。こうした中、政府の金融緩和のスタンスは依然として継続するとみられます。

内訳をみると、生産(52.9→52.4)、新規受注(50.1→49.8)、新規輸出受注(48.2→47.9)、雇用(48.1→48.0)、輸入価格(48→47.8)等、軒並み悪化しました。

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今後発表される主な経済指標

◆8月8日 中国貿易収支 7月 市場予想 +533.5億ドル、前回 +465.4億ドル
輸出 7月 市場予想 +0.0%、前回 +2.8%
輸入 7月 市場予想 -7.0%、前回 -6.1%

7月の中国の輸出は前年比横ばいと、7月の輸入は7%減が予想されています。こうしたなか7月の貿易収支は533.5億ドルの黒字となり、前回から増加すると見込まれます。

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マーケットビュー

◆中国株 神経質な展開か 匯豐控股などの大手企業決算に注目

本土市場では上海総合指数が1週間で10%安と反落しました。

2015年上半期の中国工業利益が前年同期比0.7%減となったことを受けてファンダメンタルズの悪化懸念が燻るなか、株価対策として株を買っていた国有ファンドの「国家隊」が、購入した株式を売却するのではといった噂が伝わったこともあって、上海総合指数は27日に8.5%安(下落率としては8年5カ月ぶりの大きさ)と急落し、節目の4,000ポイントを割り込みました。

その後、中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC、日本の金融庁に相当)が株価対策を止めるといった噂を否定したことや、悪質な空売りへの調査などが好感され27日には反発をみせたものの、投資家心理が依然として弱気に傾いたままで買いが続かず、上海総合指数は3,700ポイントを割り込んで取引を終えています。

先週の香港市場ではハンセン指数が大きく下落しました。本土市場の急落や2015年上半期の中国工業利益がマイナスに転じたことなどが相場の重石となり、ハンセン指数は大きく下落してスタートしました。

その後、米国の株式市場の上昇や決算への期待による買いも入り、やや持ち直したものの、結局週間でハンセン指数は2%近く下げ2万5,000ポイントを割り込んでいます。

先週の土曜日に発表された中国製造業PMIが市場予想を下回り、前月よりも悪化したことを背景に、投資家の多くが依然として強気になれないなか、今週の本土市場と香港市場はともに売り先行となりそうです。

一方で中国証券金融が3つの投資ファンドを通じて1200億元(約2.4兆円)規模の資金を早ければ8月に株式市場へ投資するとの報道(7月31日、毎日経済新聞報道)などが支援材料になりそうで、強弱材料が混じるなか、今週の本土市場と香港市場はともに神経質な展開が続きそうです。

上海総合指数は200日移動平均線(7月31日、3554ポイント)が引き続きサポートとなるかが注目されます。

また、香港市場では、3日の匯豐控股(HSBCホールディングス、商業銀行、0005)や、6日の昆侖能源(クンルン・エナジー、石油・ガス・消耗燃、0135)、7日の中国聯通(チャイナ・ユニコム、各種電気通信サービ、0762)などの決算発表が注目されます。

林宇川(TonyLin)
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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