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(写真=PIXTA)

◆昨日は、人民元基準値が僅かながら続伸したことから元安懸念は沈静化した面もあったが、原油や銅などコモディティ価格が下落したことから一時豪ドルなどコモディティ通貨が下落した。もっとも、米NY連銀製造業景況指数が予想外の大幅悪化となったことを受けた米ドル安により反発、結局主要通貨は総じて小動きとなった。

◆ドル/円は、欧州時間にかけてコモディティ価格下落を受けたドル高の影響からか、124円台半ばへ強含みとなったが、米NY連銀製造業景況指数の大幅悪化を受けて反落、結局124.20-124.60円の狭いレンジ内での推移となった。

◆本日は、豪RBA議事要旨、英CPI、トルコ中銀金融政策決定(一部が利上げ予想)、米住宅着工件数などが予定されている。

英CPIが市場予想を下回り再びマイナスになるとBoE利上げ期待が更に後退しポンド安材料となるため注目される。またトルコでは連立交渉失敗・再選挙リスクの高まりを受けてリラ安が続く中、一部に利上げ期待があるが、現状では焼け石にウォーター(水)でリラ安圧力は続きそうだ。

◆ドル/円は、引き続き人民元基準値には留意しつつも、124円台でのレンジ推移リスクが高まっている。


昨日までの世界:元安は一服だがコモディティ安圧力が続く

ドル/円は、原油や銅などコモディティ価格下落を受けたドル高の影響からか、欧州時間にかけて一時124.57円へ強含みとなった。もっとも、NY時間入り後は、米NY連銀製造業景況指数が-14.92と小幅改善予想に反して大幅に悪化したことを受けて124.22円へ反落した。

但し引けにかけては小反発し、結局124.20-124.60円程度の狭いレンジ内での推移となった。なお、本邦では2QGDPが前期比年率-1.6%と市場予想を若干上回っており、追加緩和期待を高めることにはならなかったとみられる。

ユーロ/ドルは、振れを伴いつつも上値重く推移し、1.11ドル台から1.1059ドルへ軟化した。ユーロ圏関連の重要材料はなかったが、米経済指標の予想比大幅下振れでも上昇は限定的だった。

ユーロ/円もユーロ/ドルと同様に軟調となり、138円台から一時137.59円へ下落した。

豪ドル/米ドルは、欧州時間入り後、銅や原油などの原油や銅などコモディティ価格が下落したことから一時0.7344ドルの安値をつけた。もっとも、その後発表の米NY連銀製造業景況指数が予想外の大幅悪化となったことを受けた米ドル安により反発、結局概ね0.73ドル台後半での狭いレンジ内推移となった。

豪ドル/円も、91円台後半で方向感のない推移となった。


きょうの高慢な偏見:トルコ利上げは焼け石にウォーター

ドル/円は、引き続き人民元基準値には留意しつつも、124円台でのレンジ推移リスクが高まっている。経済指標面では米住宅着工・建設許可件数の発表が予定されており、回復基調の継続が確認される見込みで緩やかなドル下支え要因だが125円は遠そうだ。米利上げとドルを巡っては、米インフレ指標や中国の人民元と景気動向の方がより重要な変動要因となりそうだ。

ユーロ/ドルも追加材料に欠ける中で、1.08-1.12ドルのレンジ観が強まりそうだ。

豪ドル/米ドルは、人民元切下げ一服と共に下値トライの動きが一服しているが、中国景気減速懸念が高まりコモディティ価格の下落が続くようだと、再び8月12日につけた年初来安値(0.7216ドル)下抜けを試す動きが強まる可能性が高い。

なお、RBA議事要旨も発表されるが、2月、5月、8月、11月は議事要旨公表前に四半期金融政策声明(SoMP)が公表され詳細な景気見通しなどが示されるため、今回議事要旨では追加材料が少なく豪ドルへの影響は限定的となりそうだ。

ポンド関連では英7月CPIが注目される。BoE金融政策を巡っては、好況が続き賃金上昇率が高まる中で、来年初にも利上げが開始されるとの期待が高まっていたが、8月初の金融政策委員会および四半期インフレ報告で、Carney総裁が利上げに当たってはインフレ率が重要である点を強調したことから、市場の焦点が再び英国のインフレ率(総合CPI)に移ってきている。

こうした中、本日発表の総合CPIは前月、市場予想共に前年比ゼロ%となっているが、市場予想を下回り再びマイナスになるとBoE利上げ期待が更に後退しポンド安材料となりそうだ。

トルコでは、8月23日の期限を前に連立協議が上手く進展しておらず、昨日はダウトオール首相が連立政権樹立のあらゆる可能性は尽きたと発言するなど、秋の再選挙リスクが高まっている中で対ドルでリラが史上最安値へ下落、リラ安圧力が続く中で、本日はトルコ中銀金融政策会合が予定されている。

市場コンセンサスは据え置きだが(1週間物レポ金利:7.50%)、一部に利上げ予想もあり、利上げの有無、そして利上げでリラが下げ止まるかが注目される。ただ、政局不透明感が今後も続く中での小幅利上げは「焼け石にウォーター(水)」であるため、今回は据え置きの可能性が高そうにみえ、リラ安傾向は目先続きそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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