(写真=Instagram)
米Facebook社のインスタグラム、ユーザー3億人超えで収益化の準備整う。
Facebo ok <NASDAQ:FB> のインスタグラムは広告管理用APIをマーケティング・パートナー向けに公開した。これでインスタグラム上の広告スペース購入プロセスが自動化することになる。
このAPIを使うことで、広告主はインスタグラム広告の企画やクロス販促を、FacebookやTwitter <NYSE:TWTR> などのデジタル広告プラットフォームと連動して行うことが可能になる。外部プラットフォームを使ってインスタグラムでの全マーケティング活動をモニタリングすることもできる。これまで、インスタグラムに広告を載せたい企業は20万ドルの最低料金が必要だった。営業担当者が発注を受け、個別に企画、承認というプロセスを踏んでいた。
最低料金制を撤廃しプロセスを自動化したことで、インスタグラムの全世界における年間広告収入は、リサーチ会社イー・マーケターによれば、本年度の5億9500万ドルから、2017年までに28億ドルに急増する見込みだ。これはFacebookの全世界広告収入予想額のおよそ10%に当たる。
進化するインスタグラム
かつてFacebookがインスタグラムを10億ドルで買収した際、人々の反応は冷ややかだった。コンピュータ・ワールド社のスティーヴン・J・ボーガン・ニコルスは、当時3500万人のインスタグラム月間ユーザーの多くは定着しないだろうと述べ、「10億ドルはまったくの無駄遣い」と決めつけた。
ところが昨年12月、インスタグラムは月間ユーザー数がTwitterを抜いて3億人に達したことを発表した。これに対しツイッターの共同創立者エヴァン・ウィリアムズは、フォーチュン誌のインタビューに答えて、インスタグラムが「きれいな写真を眺めたい利用者を増やそうが」まったく気にしないし、「ツイッターはインスタグラムが到底及ばないほどの利益を上げている」と語った。
2014年の時点では確かにそうだった。しかし、イー・マーケター社の読みが正しければ、インスタグラムはついに、Twitterの本年度予想利益22億ドルを上回る額を稼ぎ出すことになりそうだ。
大規模なユーザー基盤の環境が整い、インスタグラムは広告機能の強化を開始した。昨年導入した動画広告は広告主とユーザー双方からの支持を得た。今年3月にはカルーセル広告表示を取り入れ、一つの広告により多くのイメージを盛り込むことができるようになった。また6月にはFacebookのプロフィールから集めたユーザーデータにアクセスして動くターゲティング機能ツールを広告主に提供した。同じく6月、「Shop Now(今すぐ買う)」ボタンと外部リンクへのサポート機能を取り入れた。
インスタグラムの何がすごいのか
インスタグラムが広告主に儲けをもたらすプラットフォームである理由は3つある。第一に、インスタグラムが、アメリカの成人ユーザーの間で昨年最も急成長を遂げたソーシャル・ネットワークであるということ。ピュー・リサーチによれば、2014年にインスタグラムを使う米国成人の割合は前年より9%アップの16%になった。これに対してTwitterの利用は5%伸びて23%、Facebookは横ばいの71%だった。
第二に、インスタグラムのユーザー基盤はティーンエイジャーが大半を占める。ピュー・リサーチの調べによると、米国ティーン層のうちインスタグラムのユーザーは52%、対するFacebookは71%、Twitterは33%。米国3560万人のこの層は年間2000億ドル超の購買力を持ち、教育関係サイト・エデュデミックは、彼らのSNSログイン回数は日に10回を超えると見る。米投資銀行パイパー・ジェフリーによると、ティーン層の消費の大部分は食べ物と服で、そのどちらもインスタグラムのヴィンテージ・フィルター機能で簡単に高画質の写真を見せることができる。
第三に、インスタグラムの言によれば、ユーザーが同アプリ上で見た広告を思い出す回数は、他媒体のオンライン広告の2.8倍にもなるという。ユーザーの持つFacebookのプロフィールから収集したデータに基づく、的を絞った広告展開のたまものだろう。アプリ画面をスクロールすると現れる大きめの写真と動画広告も、グーグル <NASDAQ:GOOG> のありふれた検索連動型広告やディスプレイ広告に比べて記憶に残りやすいに違いない。