生産活動(韓国・台湾・タイ:7月、その他の国:6月)

アジア新興国・地域の生産指数の伸び率(前年同月比)を見ると、前月から大きな変動はなく低調な推移となった(図表1)。

ASEAN図1

インドネシア(6月)は同+5.8%と前月から3.5%ポイント上昇し、3ヵ月・6ヵ月平均を上回った。マレーシア(6月)は同+4.4%と、電気・電子機器や輸送用機器を中心に堅調を維持した。またインド(6月)は同+3.8%と、オフィス・会計・コンピューターや自動車など製造業を中心に伸び率が上昇した。

一方、タイ(7月)は同▲5.3%と、ハードディスクドライブ、電気機械、ラジオ・テレビ及び通信装置機器などの輸出型産業が揃って低下し、5ヵ月連続のマイナスとなった。フィリピン(6月)は同▲3.7%と、木材・木工品や家具・備品、石油製品、基礎金属などが二桁減となり、2ヵ月連続のマイナスとなった。

台湾(7月)は同▲3.0%と、主力の電子部品やコンピューター、電子・光学機器が減少して、3ヵ月連続のマイナスとなった。韓国(7月)は同+0.2%と建設や医薬品、ゴム・プラスチック製品などを中心に上昇したが、依然として停滞局面を脱する動きは見られない。


貿易(韓国・台湾・タイ・インドネシア・インド:7月、その他の国:6月)

アジア新興国・地域における輸出(通関ベース)の伸び率(前年同月比)を見ると、海外経済の弱まりや資源価格の低迷による製品価格の値下がりを受けてマイナスを記録したが、台湾・インドネシアを除く国・地域では3ヵ月・6ヵ月平均を上回るなど、減少傾向には歯止めがかかりつつある(図表2)。

フィリピン(6月)は前年同月比▲3.3%、主力の電子機器がプラスに転じてマイナス幅は縮小した。またタイ(7月)は前年同月比▲3.6%とマイナスだが、自動車・関連部品に回復傾向が見られた。

一方、インドネシア(7月)は同▲19.2%と、資源価格の下落や通貨安を受けてマイナス幅が6.8%ポイント拡大した。また台湾(7月)は同▲11.9%と主要輸出品目の電気製品、一般機械、鉱業製品、化学製品、プラスチック製品などが二桁減となり、3ヵ月・6ヵ月平均を下回った。

輸入の伸び率(前年同月比)については、輸出と同様に資源価格の低迷を背景とする製品価格の値下がりを受け、フィリピンを除く国・地域でマイナスが続いている(図表3)。

インドネシア(7月)は同▲28.4%と、輸出同様に資源価格の下落や通貨安を受けてマイナス幅が拡大した。また台湾(7月)は同▲17.4%と、鉱物や化学製品、プラスチック製品を中心にマイナス幅が拡大した。一方、フィリピン(6月)は同+22.6%と、政府支出の拡大で資本財や消費財が二桁増となり、前月の同▲13.4%から急拡大した。

ASEAN図2-3


自動車販売(7月)

7月の自動車販売台数の伸び率(前年同月比)を見ると、国・地域によって好不調が大きく分かれる結果となった(図表4)。

ASEAN図4

フィリピンは前年同月比+18.5%と前月から更に4.7%ポイント低下したものの、20ヵ月連続の二桁増を記録した。またインドは同+10.8%とインフレ圧力の後退や原油安による自動車の維持費の低下を受けて3ヵ月ぶりの二桁増となった。韓国は同+6.3%と、前月に続いて新型モデルの発売が追い風となった。

一方、インドネシアは同▲39.1%と前月から更に13.4%ポイント低下するなど、昨年11月の燃料補助金削減やガソリン価格の値上げによる消費者の購買意欲の低下に加え、断食明け大祭(レバラン)で営業日が少なかったことが影響したと見られる。

またタイは同▲12.5%となり、新型車効果で前月に続いて6万台を超えたものの、家計債務の拡大や農産物価格の低迷による農家の購買力低下が響いて27ヵ月連続のマイナスを記録した。