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(写真=PIXTA)

◆9月調査短観では、注目度の高い大企業製造業で2四半期ぶりに景況感の悪化が示されると予想する。大企業非製造業の景況感も悪化すると予想。

前回6月調査後に発表されたGDP統計では、4-6月期の日本経済がマイナス成長であったことが明らかとなり、7月の主要経済指標も総じて冴えない結果であったため、景気の低迷感は強まっている。中でも、実質賃金の伸び悩みなどから消費の回復が遅れている点は影響が大きい。さらに、8月以降には、中国不安が急激に高まり、世界的に株価が急落、為替は円高ドル安に振れた。

これらは企業の景況感にとってマイナス材料となる。資源価格の下落やインバウンド消費といった下支え材料はあるものの、中国不安と消費回復の遅れといったマイナス材料のインパクトが上回る。従って、9月短観では幅広く景況感の悪化が示されると見ている。

◆先行きの景況感についても、企業規模や製造業・非製造業を問わず、悪化するだろう。最近の情勢悪化を受けて、内外経済の下振れリスクは高まっており、景気回復シナリオへの慎重な見方が強まっていると考えられるためだ。

◆設備投資計画は統計のクセもあって上方修正されるが、例年よりも小幅に留まるだろう。

◆今回の最大の注目ポイントは15年度の設備投資計画だ。前回調査では勢いのある計画が示されていたが、7月までの設備投資関連指標を見ても、大して勢いを増している感がなく、計画との間にギャップが生じている。

さらに8月は中国不安の高まりなどもあったため、企業が様子見スタンスに転じたり、計画自体を見直す動きが出ている可能性がある。企業部門は直近まで過去最高水準の利益を確保し、設備投資の積極化が期待される存在であるだけに、その動向は日本経済の今後にとって重要になる。

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