ファイナンシャルプランナーとして資産運用の着眼点などを書いてきました。今回は世界の中央銀行ともいうべきアメリカFRB議長に就任したイエレン氏の動きなどについて考えてみました。
【参考】
【FRB
総裁交代】イエレン氏就任で、経済はどう動くのか?~vol.1 世界の債券・為替市場への影響~
新FRB議長エイレン氏への懸念と疑問に応えた議会証言
2006年から8年にわたって米金融政策の手綱を握ったバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の後任にFRB副議長のジャネット・イエレン氏が選ばれました。米ドルが世界の基軸通貨であるだけにFRBは事実上の世界の中央銀行であり、しかも初めての女性議長ということもあって、その適性や手腕が懸念されました。
また、バーナンキ前議長が2008年の世界的な金融危機以来とり続けたきた量的緩和の縮小第一弾を退任直前の1月に実施しましたが、新興国市場に混乱させることになり、縮小策の継続に大きな関心がもたれました。
新議長は2月11日議会下院証言でこのような懸念や疑問に答えました。
○初めての女性新議長の手腕等への懸念を議会証言で払拭
G20でも南アフリカ共和国、アルゼンチンの3カ国は中央銀行総裁は女性であり、またイエレン新議長のカルフォルニア大学バークレー校で経済学を教えつつ、FRB理事、クリントン政権での大統領経済諮問委員会(CFA)委員長やサンフランシスコ連銀総裁などの要職を経験し、2010年からFRB副議長と言う略歴から、経験不足などの疑問は元々なかったともいえます。米国大統領と並ぶ重責だけに、人物、力量への懸念があったようですが、議会下院証言で払拭しました。
○量的緩和の縮小は継続
議会証言での最大の関心事は新興国通貨不安から量的緩和縮小をどう進めるのかでしたが、イエレン議長は一時踏みとどまるとの観測を一蹴しました。冒頭スピーチで「FRBがとってきた量的緩和政策を支持する」とし、バーナンキ前議長の政策の継続を明らかにしながら、「米国経済は緩やかな回復が続く見ている」として、量的緩和政策を円滑に終わらせる方針を明確にしました。
○新興国市場などへの配慮と米国経済
緩和縮小に伴う投資マネーの逆流で通貨安に苦慮しているトルコ、アルゼンチンなどからFRBに批判が出ていることもあり、「最近の国際金融市場の変動を注意深く見ている」とコメントしていますが、「米経済への深刻なリスクにはならない」とも。緩和縮小のペースは米国経済を基軸に判断する姿勢を明確にしています。
2月22日・23日にシドニーで開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で準備制度理事会(FRB)による債券買い入れの縮小開始を受けて新興国市場が陥っている不安定な状況について話し合われるのではと見られており、同会議に出席を予定されているイエレン議長のG20初舞台での発言に関心が寄せられています。