東京証券取引所が毎年、企業価値向上に努めた上場会社を表彰しているのはご存じだろうか。市場における企業価値向上とは、株主から預かった資本を上手に活用して効率的に利益を上げることである。こうした企業価値向上を目指した経営の普及・促進を図るために、「ニッポンの企業力」として2012年度から実施しているイベントだ。選定対象となるのは、東証に上場しているすべての企業で、その数は約3,500社に上る(2015年9月末現在)。表彰対象になるのは、資本コストをはじめとする投資者の視点を深く組み込んだ、企業価値の向上を目指した経営を実践している会社である。


企業価値向上を実現している会社の選定方法

企業価値向上とはどういう基準で判断されるのか、その選定プロセスを見てみよう。まず、全上場会社の中から過去数年間の「エクスティ・スプレッド」の平均値、または成長率が良好な400社程度が選出される。

そこでスクリーニングされた400社に対して、資本コストへの認識など、簡易アンケートを実施。その結果と連結財務諸表数値などから資本コストや企業価値創出額など独自に算出した数値を踏まえ、そこから50社程度に絞られる。その50社に対して、企業価値向上の実現に向けた経営の実践についての詳細アンケートを実施。さらに、その内容を踏まえて数社がファイナリストとして公表される。その数社に対してさらに、投資者などから意見を募ったり、大学教授や投資信託会社代表などの有識者選定委員による経営陣へのインタビューなどを踏まえ、大賞を決定するのだ。