企業価値の指針、「エクスティ・スプレッド」とは

企業価値創造の源泉は投資者(株主、債権者など)の期待収益率、つまり資本コストを上回るリターンを獲得することにある。これを株主の視点で見ると、上場会社は会計上の利益が黒字であるだけでは十分ではなく、「自己資本(株主資本)コスト」をいかに上回るかが重要で、その利益を計上して初めて企業価値を創造したと評価されるといえるだろう。

こうした株主の視点から、企業価値創造の判断尺度のひとつとなるのが、「ROE(自己資本利益率)」から「自己資本コスト」を差し引いて計算される「エクスティ・スプレッド」だ。「エクスティ・スプレッド」がプラスになると、企業価値が創造されたと判断できる。


表彰企業は投資対象としても優良

つまり、受賞する企業は「エクスティ・スプレッド」がプラスになっている、言い換えれば投資対象としても優れている企業でもあるのだ。そういう投資観点からも大いに注目度の高い表彰制度なのである。2015年度は選定中だが、過去の表彰会社をみてみよう。

2014年度は大賞が、オムロン株式会社だった。オムロンはROIC(投下資本利益率)を重要指標に位置づけた「ROIC経営」の推進を掲げ、その実現に向けて組織全体で取り組んでおり、「企業価値向上経営」を特に高いレベルで実践していることが評価された。具体的には、投資者との対話や、きめ細かな事業ポートフォリオの管理、ROIC向上に向けた各組織への仕組み導入など。こういった取り組みを実践し、その結果、ROE上昇などの成果につなげている。また、優秀賞にはTOTO株式会社、ピジョン株式会社、東京瓦斯株式会社の3社が選ばれた。

2013年度は大賞が丸紅株式会社、優秀賞がキリンホールディングス株式会社、アンリツ株式会社、株式会社バンダイナムコホールディングス、伊藤忠商事株式会社。表彰がスタートした2012年度の大賞は株式会社ユナイテッドアローズ、優秀賞がエーザイ株式会社、HOYA株式会社、丸紅株式会社、三菱商事株式会社であった。

2015年度の表彰については、ファイナリストの公表が今年10月ごろ、大賞の発表が12月~16年1月ごろに行われる予定となっている。どんな企業が選ばれるのか、投資対象としてもぜひ注目したい。(ZUU online 編集部)

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