女性弁護士
(写真=Thinkstock/Getty Images)

東芝が最初に特別調査委員会の設置をプレスリリースしたのは2015年4月3日だった。当時512.4円だった株価は2015年9月末時点で4割も低い300円前後の水準で推移している。2015年3月以前から東芝株を保有していた個人株主は大きな痛手を負っただろう。今回は、そのような個人株主が少しでも損を取り戻すために法的に何か採り得る手段はないのかを考えてみたい。


会社に代わって訴訟を起こす「株主代表訴訟」

この手の不祥事案件が起きた場合、以前からよく提起されていたのは「株主代表訴訟」と呼ばれているものだ。これは、取締役などの会社の役員が会社に損害を生じさせた場合に、その責任を追及する訴訟を株主が会社に代わって行うものである(会社法第847条第3項、第5項)。

本来なら会社自身が役員の責任を追及すべきところだが、実際に訴訟を担当することになる役員(監査役など)が、仲間意識から訴訟提起をためらうおそれがある。そこで、代わりに株主が責任追及することが認められている。


もうかるのは弁護士だけ?

しかし、これはあくまで会社に“代わって”株主が責任追及するものなので、実際には、一般の株主には訴訟を起こす経済的メリットはない。訴訟を行うのは株主であっても、勝訴した際の賠償金は、株主ではなく、会社が受領することになるからだ。株主は会社のオーナーとして、株主が賠償金を受領することで間接的に損害を補てんされるにすぎない。上場企業のような大きな企業において間接的に損害を補てんされると言われても、一般株主にとっては自分が救済されたとは全く感じられないだろう。

このため、株主代表訴訟は、原子力発電に反対する株主や、政治献金を糾弾する株主などにより、いわば社会運動的に使われることが多かった。「株主代表訴訟でもうけられるのは弁護士だけだ(弁護士報酬を受領しているため)」などともいわれ、弁護士がいわば“商売”として株主代表訴訟を提起しているのではないかと皮肉な見方をされることさえあった。