ネット普及で新たに可能となった手段

そのような中、最近になって広く提起されるようになったのが「証券訴訟」などと呼ばれるものである。これは、虚偽記載のある有価証券報告書などを提出したことが明らかになったために株価が下落し、株主が損害を被ったとして、金融商品取引法の規定や民法上の不法行為責任に基づき、株主が直接に会社や役員に対し損害賠償を請求するものだ。勝訴した際の賠償金は、当然、株主自身が受領することになる。2004年の旧証券取引法(現・金融商品取引法)の改正により、損害額の推定規定が設けられたこともあって、広く使われるようになってきた。

粉飾決算によって被害を受けたといっても、個人株主1人の損害額は数万円や数十万円であろう。弁護士を雇って損害賠償請求をするにはいかにも少額すぎる。このためこれまで多くの個人株主たちは、粉飾決算の事件があっても泣き寝入りしてきたのが実態だろう。

しかし、インターネットが発達した今日、個人株主が結集して裁判を起こすことは非常にやりやすくなってきた。しかも十二分に経済的合理性が認められるようになってきた。実際にも西武鉄道、ライブドア、オリンパスなど、最近の不祥事事件では集団での証券訴訟が提起されるようになってきている。個人株主であっても、自ら主導的に訴訟を起こさなくても、集団での証券訴訟に参加することでそれほど労せず損害賠償請求訴訟を提起・追行することができるようになってきた。


ウェブサイト立ち上がる

今回の東芝の“不適切会計”事件でも、「東芝事件株主弁護団公式サイト」など、集団での証券訴訟を呼びかけるウェブサイトが立ち上がっている。以前から東芝株を保有していた個人株主で少しでも損を取り戻したいと考えているなら、集団訴訟への参加するのも一考の余地が。ちなみに、すでに売却済みであっても、また裁判中に売却するつもりであっても、損害賠償を請求することは可能である。(ZUU online 編集部)

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