「米・中・EUの3経済ブロックとロシア」の4極化進む

米国主導のTPP、中国主導のRCEPだけではない。

すでにヨーロッパにおいてはEUによって圏内の国境関税は廃止されている。TPPの合意を受けて、現在TPPとEUの2つの経済ブロックが地球上に存在していることになる。これに加えてRCEPが合意すれば中国主導の経済ブロックが完成する。世界経済が3陣営に分かれると言っても良い。

また中国はもう1つ経済ブロック構築を進めている。一帯一路構想(OBOR)、現代型のシルクロード構想である。陸と海から中国から中央アジア、インド、アラビア半島、アフリカを経由してEUへ向かう地域について経済ブロックを作ろうという構想である。中国から見て南の地域をRCEP、西の地域をOBORで経済ブロック化し、両ブロックの盟主として中国が立とうとするものである。

これら3陣営による経済ブロック作成に大反対を表明しているのがロシアだ。

3陣営いずれにも属しておらず、また西はEU、南は中国、東は米国の各経済ブロックに囲まれるロシアのプーチン大統領は9月28日に「貿易の仕組みと世界経済が崩壊しかねない」と国連総会演説の場でけん制をした。それだけ危機感をもっていると言える。

おそらく今後、米中EUの3つの経済ブロックおよびロシアの4陣営による世界経済の4極化が進むであろう。日本としても、どの陣営に加入するのかを見据えていかなくてはならず、その答えが今回のTPP合意による米国主導の経済ブロック加入であった。