(写真=PIXTA)

交渉の大筋合意がなされた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、太平洋周辺諸国で関税のない自由貿易圏を戦略的につくる構想だ。環太平洋とは言うが参加国はオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国、ベトナム(閣僚声明での記載順)の12カ国。

しかし中国や韓国、台湾、インドネシアといった太平洋周辺に位置する経済大国・新興国が加入していない。


米国が恐れる東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)

TPP合意が騒がれている今月、この10月12日から16日、韓国釜山で東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)の10回目の交渉会合が開催された。

RCEPとは、TPPと比べて話題に上がる事が少ないが、「環太平洋」ではなく「東アジア」という枠組みの中で経済連携を行おうとするものだ。

参加国はASEAN10カ国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)と日本、インド、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、中国の計16カ国が加入する。日本も含めてTPPとRCEPで重複して交渉参加している国も複数ある。

この2つの経済連携、最大の違いはTPPについては米国が主導するが、RCEPは中国が主導している所にある。

米中両国は今後の経済覇権を手にする為に、自らが主導できる経済ブロック、経済の囲い込みをしようとしている。米国はこのRCEP合意よりもTPP合意を先に行うことで米国主導の経済ブロックの構築を急いだのだ。

オバマ大統領はTPP合意に至った5日、「中国のような国に世界経済のルールを作らせてはならない。我々こそがルールを書くのだ」と中国を名指しする声明を出すまでに米国はRCEPを恐れている。