薬品
(写真=PIXTA)

性欲減退を認める女性または閉経前の女性を対象として、米国食品医薬品局(FDA)が医薬品として承認した「フリバンセリン」が10月19日、米国で出荷が始まった。スプラウト・ファーマシューティカルズが同日プレスリリースを出した。

しばしば性欲に作用することから「女性版バイアグラ」と呼ばれることがあるが、その作用メカニズムはバイアグラとは大きく異なり、生殖器機能に効果をもたらすものではない。

日本で承認されたわけではないので、国内で処方してもらえる訳ではないが、こうした薬剤の入手法は存在するようだ。


アルコールと同時服用で重篤な症状になる場合も

女性の性欲は閉経後、徐々に低下することが知られているが、閉経前から性欲減退する「性的欲求低下障害」(HSDD)という状態がある。フリバンセリン(米国での商品名「Addyi」)は、FDAが初めて認めたHSDDの治療薬だ。過去FDAは、HSDDの治療薬(対象の男女を問わず)を承認したことはない。

元来抗うつ薬として開発されており、脳内のさまざまな神経伝達系に作用することで、減退した性欲を向上させる。そのため毎日の服用が必要だ。

高頻度にみられる副作用としては、めまい、吐き気、疲労、睡眠障害などがある。また服用時にアルコールを飲むと、重篤な血圧低下が起こる場合が報告されており、副作用は決して軽くはない。

FDAもフリバンセリンの副作用を重く見て、過去2度、本剤の承認を見送った経緯がある。また、今回の承認に際し、製造販売元のスプラウト社に対して厳格な安全性監視義務の警告を付している。


米国では既に発売、宣伝は控える方針

ある調査は「HSDDに悩む患者の10%程度が本剤を利用するのではないか」と指摘している。市場に出回ると、臨床試験での少数の被験者とは比較にならない数の患者が使うため、発売当初は、未知の副作用が多発する可能性が否定できない。

このためスプラウト社は、販売後18カ月は売れ過ぎを抑制するために、テレビやラジオでのコマーシャルを控えることをメディアに伝えている。