8月後半以降、FRBの利上げについてツイッターをはじめ様々なメディアでその見送りを強く主張しているのが、クリントン政権時代の財務長官であったローレンス・サマーズ氏だ。同氏は、もはやQE(量的金融緩和政策)ではなく財政出動をすることがもっとも有効な長期停滞への処方箋であることを随所で表明しはじめている。

また、現実的な問題として「FEDウオッチ」の確率の低さについて言及をしており、過去20年間の間でFEDウオッチの利上げ観測の数字が70%を超えると利上げが実行されてきているの発言が注目された。今のレートはあまりにも低く、市場のコンセンサスは得られないとするのがサマーズ氏の見方だ。

では、今回サマーズ氏が引き合いに出しているFEDウォッチとはいったい何なのかについてみていく。


FEDウォッチは、CMEが随時更新

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は、CMEグループが所有・運営する、アメリカ合衆国のシカゴにある北米最大の金融と商品のデリバティブ取引所のことを指す。1898年にシカゴ・バター・卵取引所としてシカゴ商品取引所から独立し、1919年にシカゴ・マーカンタイル取引所に改組して今日に至っている。

そのCMEが日々数字を更新して利上げの可能性について開示しているのがFEDウオッチである。これはコンピュータによるプログラムツールで、CMEは多数のFF先物商品を保有していることから、その先物金利などの情報を収集することで自動的に計算し公表しているものだ。

こうしたことからCMEグループのFEDウォッチツールは、実際のFF金利先物の価格を基に、FF金利に関する市場の動向見通しを迅速に測ることができる。通常FEDが市場との対話を進め、利上げを示唆すればFF市場自体がそれを織り込み始めていくものだが、直近のFF市場はまったくそうした動きになっておらず、多くのFF先物商品の動向から分析を行っているCMEの結果はきわめて重要なものとなっているのだ。