10月FOMCの利上可能性は4.6%
9月17日のFOMC後の政策金利発表と、その後のイエレン議長の会見を受けて、市場は大幅に米国の利上げ時期を後退させることとなった。そもそもFEDウオッチによる9月の利上げ確率は20%台前半にまで落ち込んでいたが、エコノミストの9月利上げ予測は大きく二分されることとなり、結果的にFEDウオッチの確率のほうがさらに信憑性の高いものとなっている。また、9月FOMCの議事録が公開され、FOMC直後は僅差で利上げが見送りと思われていたのに対し、大方のメンバーが見送りを選択していたことが判明したことも10月の利上げの可能性を下げる結果となってしまっている。
直近におけるFEDウオッチの10月FOMCでの利上げの可能性確率は4.6%と極めて低くなっており、12月16日のFOMCでの利上げの可能性確率でも29.2%とまだまだ低い状態が継続していることがわかる。足元で発表されている米国の9月製造業PMI速報値も53.0と悪化予想に反して8月と同水準を維持したものの、この水準は2013年10月以降2年ぶりの低水準となっており、製造業関連の経済指標が明らかに落ち込んでいることも米国の利上げ見送りを示唆している。
10月のFOMCでの利上げ見送りが確定すれば12月FOMCに対するFEDウオッチの利上げ確率はさらに下落することが予想され、サマーズ氏元財務長官が指摘しているように70%超の数字が市場に示現することは当分ありえない状況となっているのが現実だ。
追い込まれるイエレン議長
今年リーマンショック以降、最悪の利益低下を招いているヘッジファンドをはじめとした短期の投機筋は、このFEDウオッチの確率に加え、イエレン議長が自ら口にした利上げを実行できないジレンマに陥っていると見て、少なくとも12月までは利上げなしと判断したようだ。これによりあらゆる相場の買戻しを仕組んでおり一時的なリスクオン状態となっている。
もともとイエレン議長は2013年末の副議長だった時代に、自ら最適コントロールモデルと呼ばれるコンピュータソフトを導入し、膨大な経済データをFRBによるこの計量経済モデルで管理することで金融政策を決めていると明言している。当時このモデルによる最適化では、ゼロ金利解除は2017年になると語っていた。今日の状況はこの当時から大きく変化したわけではなく、仮にこのモデルをベースに政策を判断するなら当分利上げはできないという憶測も高まりつつある。
ゴールドマンサックスはすでに2016年夏以降の利上げを予想
こうしたFEDウオッチの確率を踏まえ、ゴールドマン・サックスのエコノミストは、同社が12月の利上げ予想を中心的なシナリオとして維持しながらも、FRBが利上げを2016年まで後倒しするという見通しを発表しており、場合によってはさらに遅くなるとも発表している。
米国の株式市場は、イエレン議長が年内利上げをほのめかした今年4月あたりから、FRBがバブルを警戒して利上げする株価水準はS&P500で2150ポイント以上になったときであるとずっと噂されてきた。だが、現在のS&P500はかなり戻しながらも1950ポイント前後で推移しており、ゴールドマンの指摘は株価水準からみても妥当性の高い予測といえるのではないだろうか。
一方、この12月に利上げできないと2016年の利上げチャンスを逸すると考えるFOMCメンバーも現れ始め、前向きな利上げを語る地区連銀総裁もみられる。市場はこうした発言でしばらくは上下が継続しそうである。FEDウオッチの数字を見る限りでは、短期間で利上げが行われる可能性はきわめて低くなってきているのではないだろうか。 (ZUU online 編集部)
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