欧州ではVAT(付加価値税)免除の規制が設けられ、大手金融機関も続々と関連ベンチャーに乗り出し始めるなど、「通貨としての市民権」を着実に取得しつつあるビットコインだが、こうした動きを歓迎しない金融界の大物2人は、「ビットコインが不換通貨を超える可能性」を真っ向から否定。ビットコインの終結まで予言している。

「政府の介入によって終わりを告げる」モルガン・スタンレーCEO

4日米フォーチュン誌開催の国際フォーラムに参加したモルガン・スタンレーのジェームズ・ダイモンCEOは、「ビットコインは主流通貨としては通用しない。時間の無駄だ」とバッサリ斬り捨てた。

米最大手銀行トップは、ブロックチェーン・テクノロジーの導入は検討しているが、ビットコイン自体は単なるブームだと強調。「無法地帯の仮想空間で循環している代物を、いつまでも野放しにしている政府など、世界中のどこを探しても存在しないだろう」

ダイモンCEOは「シリコンバレーのイノベーションは応援するが」と前置きし、「ある日米司法省から『違法通貨なので、再度利用したら刑務所に入れますよ』という通達があって、それで終わりになるだろう」と、米政府が本格的な規制に乗り出す日がそう遠くないことを示唆した。

「ビットコインは信用できない」IMFラガルド専務理事

一方ニューヨークで開催されたバンキング・カンファレンスでは、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事が、「信用性の著しい欠如」という点で、「ビットコインは金融業界の脅威には成り得ない」とコメント。

「信用という言葉ナシでは、いかなるトレードもビジネスも成り立たない。我々金融機関は社会から信用を得るために、資本や文化に根ざす問題に立ち向かってる」と、現実の世界に存在する通貨と仮想通貨との差を指摘した。

最新テクノロジーに踊らされない姿勢

ダイモンCEOの指摘通り、多くの金融機関が興味を示しているのは、ビットコインの裏にあるブロックチェーン・テクノロジーだ。しかしそれも「単なる新しいテクノロジーの1つでしかない」とダイモンCEOはクールな構えを崩さない。

「安くて便利、かつ安全なテクノロジーの採用には我々は常にオープンだ」という言葉通り、オプションとして候補に入れているが、「大量の事務処理が発生するローン業界以外では、特にブロックチェーンを利用する利点が見当たらない」と、あくまで利用価値重視をアピールしている。 (ZUU online 編集部)