税制上の優遇措置内容とは?
確定拠出年金の掛金は、全額所得控除の対象となる。また、老齢給付金を年金で受けとった場合には「雑所得」、一時金で受け取った場合には「退職所得」となる。いずれも公的年金等控除や退職所得控除が受けられるので、税制上有利である。障害給付金については「非課税」であり、死亡一時金については「みなし相続財産」となる。なお、毎年発生する運用益についても、全額非課税となっている。
生命保険や損害保険の保険料については、金額に応じて、数万円の所得控除が認められているが、全額が所得控除になるというものではない。それと比べると、拠出金額の全額が所得控除の対象になるというのはいかに節税効果が高いかがわかる。
たとえば、勤め先に企業年金のない会社員で、課税所得が700万円の場合、月々上限の2.3万円を拠出した場合、年の拠出額は27.6万円となり、節税額は1年で8万2800円、20年では約166万円にもなる。
メリットとデメリット
メリットをまとめてみると、まず、税制上の優遇措置が手厚い。また、運用手段が豊富で、老後の資産形成に資することができる。企業型確定拠出年金のある会社に転職した場合には資金はそのまま移行することができる。
ただし、企業型確定拠出根金以外の企業年金を採用している企業に転職した場合には、追加で運用することはできなくなる。また、自営業者の場合、事業の失敗により自己破産になると、基本的に財産はすべて換価されることになるが、確定拠出年金は換価の対象とされないため、確実に老後の資産を確保できる。
一方、デメリットとしては、税制上の優遇が認められているため、60歳までは解約ができない。そのため、お金に余裕がなくなったからといって、そのお金を使うことはできない。また、自由に運用できるということは、運用の責任も自分にあることになる。
株式などで運用していた場合、株価の暴落により老後資金が毀損するというリスクがある。受取額が確定していないため、予測が立てにくいという点もデメリットである。手数料が無料の金融機関もあるが、基本的に加入手数料・事務手数料がかかる。
このように、メリットの多い確定拠出年金であるが、実は加入率は低い。その原因は、金融機関があまり積極的に宣伝していないからだ。法人型に比べ個人型は手間がかかるため、金融機関としては、企業型の導入を積極的に進めているのだ。
しかし、利用者の観点から見ると、利用しない手はない。ネット証券などでも個人型確定拠出年金を取り扱っているので、いくつか問い合わせしてみるとよい。今後の改正により、利用者の拡大も見込まれており、金融機関も積極的に売り出しに動いてくるのではないかと思う。 (ZUU online 編集部)
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