「ソニーがおかしい」そう感じている人もいるのではないでしょうか。平成26年4月に新たに発表した内容には少なからずの意外性も感じられましたが、「ソニー不動産」を設立した意図が見えてきません。第2次安倍内閣によるアベノミクスで恩恵を受けている不動産分野に参入して金融部門に次ぐ高収益部門を作ろうとしているのでしょうか。それにしては、タイミングとして疑問が残ります。なぜならば、ソニーはここ数年でニューヨークビルやソニーシティ大崎といった大規模な不動産といった虎の子を手放してまでも、売却益を得ようとしていたからです。不動産に参入するのであれば、これらの優良不動産を活用して収益につなげると考えた方が自然でしょう。
ITを駆使した不動産業ということで本業と関連付けようとしているのでしょうが、不動産業自体に目新しさも感じられません。2012年8月にソネットをTOBし、完全子会社としたものの、その後、ソネットが保有していたエムスリー、DeNAの株式を次々に売却し、最近ではソネットさえも売却しようとしているという話さえ出てきています。
保有不動産と言い、子会社株式と言い、利益をねん出するためになりふり構わずというところが、ここ数年におけるソニーに対する正直な印象です。今期は1,100億円の赤字予想です。構造改革費用を積み増したとはいえ、本業の回復と金融部門の好調が続かなければ、さらに厳しい状況となるのではないでしょうか。パソコン「VAIO」を売却し、テレビ事業も分社化し止血策も打っています。どうにも、黒字にするための数合わせのようにしか思えません。今回の構造改革後も本業が難航した場合、もしかしたら、ソニーフィナンシャルホールディングスの売却といった動きもありうるかもしれません。