会社員の父、自営業の母。両方からそれぞれの良いこと、悪いことを学んだのかもしれない

Q:柳内さんがパラレルキャリアという考えに至るにあたって、幼い頃の経験が関係しているのでしょうか?

柳内: 詳しく分析したことはないですが、父は会社員で母が自営業でしたから、両方見て、それぞれのいいこと、悪いことを感じていたのかもしれません。

母は、女性の社会進出が進んだ時期に大手商社に総合職で入って、キャリア志向だったのですが、寿退社が当たり前の時代だったので退社して。それから自営の仕事を始めたのですが、そういう自分で切り開いていくところを、子供ごころにまぶしく感じていたんでしょうね。

Q:一昔前は、会社員が本業の会社の仕事以外に何かを始める、やりたいと思ったら、会社の仕事をしながら2枚目の名刺を持つというより、「独立」というのが一般的だったと思います。

柳内 :独立が絶対的に正しいとは限りませんし、リスクもありますから、必ずしも独立は勧めませんが、ただ「2枚目の名刺を持つ」のは初めの一歩に過ぎません。そこからずっと名刺を2枚持って活動する人もいれば、独立して2枚目の名刺が1枚目になる人もいると思います。

面白いことに、書籍でインタビューさせてもらった、組織に所属しながらパラレルキャリアを築いていた人たちのほとんどが出版から2年半たった今、独立されているんですよ。

独立を志向している人が、試しに会社に所属しながら2枚目の名刺で起業してみて、うまくいきそうなら会社を辞めるという道もいいのではないでしょうか。

そうやって頑張ることで、本業のほうで輝けたりするものです。転職してキャリアアップしたり、2枚目の名刺でやっていたことを会社の任務としてやらせてもらえるようになったり。きっかけにして自分が合うキャリアを見つかればいいと思います。

Q:2枚目の名刺、メディアプロデューサーとしての目標は?

柳内 :それに触れたり使ったりすることで人生が変わったり、リフレッシュできたりするようなコンテンツやコミュニティをつくりたいですね。

ちょうど今やりたいこととしては、メディア関係のコミュニティづくりです。メディア業界、昔からあるマスメディアとオンライン・メディアって分断しているんです。最近は徐々に人材的にも、産業的にも境界が溶けてきてはいますが、まだまだだと思います。だからその境界を超えるようなコミュニティをつくりたいですね。

実際にFacebookグループを作って活動を始めているのですが、それを拡張させていって、そこで深めた議論を記事やイベントにして、メディア業界を活性化させたいです。これは本業であるテレビの仕事にも意義があることだと思いますしね。