なぜオトクと言われるのか?

個人型確定拠出年金が注目されている理由は、税制面でのメリットが他の商品と比べて大きいことだ。しかも、掛け金を積み立てている間、運用利益が出た場合、年金を受け取る時と3つの場面で優遇を受けることができるので、利用しない手はない。個人型確定拠出年金のメリットを詳しく見ていこう。

まず1つ目だが、個人型確定拠出年金の毎月の掛け金が全額所得控除の対象となる。つまり、支払っている掛け金の全額×税率分が戻ってくることになる。一律10%である住民税も減額される。一般の個人年金保険の控除率と比べても節税効果が極めて大きいのだ。個人年金保険料の控除額は、所得税が最大で4万円まで、住民税が最大で2万8000円まで。個人型確定拠出年金がいかにオトクか、お分かりいただけるだろう。ちなみに、自営業者は確定申告、会社員は年末調整で控除を受けることができる。

2つ目は、掛け金の運用利益が出た時、その全額が非課税となること。つまり、定期預金の利息、投資信託の分配金などに全く税金がかからないということ。通常は、税率20.315%(所得税+住民税+復興特別所得税)かかるので、このメリットも大きい。運用益が非課税であれば、その分を再投資することができる。長期の資産形成として非常に効果的だ。

そして3つ目は年金を受け取る時、一時金であれば「退職所得控除」、年金であれば「公的年金控除」が受けられるのだ。

このように、個人型確定拠出年金は他の金融商品と比べても受けられる恩恵が大きく、老後資金の形成として非常に有効だ。税制面での優遇以外にも、離転職の際に積み立てた年金資産を持ち運べる便利さも兼ね備えている。

金融機関によって何が違う?

最後に、個人型確定拠出年金の運用を行う金融機関の選び方について見ていこう。個人型確定拠出年金を運用していく過程でかかる手数料は、①加入時や移換時にかかる手数料と②毎月かかる管理料がある。また、金融機関によって③取扱い商品も異なる。それぞれ確認してみよう。

①手数料:個人型確定拠出年金の加入時には、国民年金基金連合会へ2777円の口座開設の手数料を払う必要がある。口座開設手数料に関しては、金融機関に払うケースはまれだ。次に説明する毎月の管理料が無料でも、年金資産の移換時や運用管理機関(金融機関)の変更時にかかる手数料を別途徴収する場合もある。

②管理料:個人型確定拠出年金の運用には毎月の口座手数料がかかるが、各運営管理機関で差がある。無料のところもあるが、その代わり移換などで手数料がかかる場合もあるので注意が必要だ。国民年金基金連合会へ年間1236円、事務委託先金融機関へ年間768円がかかるが、これらはどこの金融機関でも同じ。基本的に口座管理料が低ければ、その分運用に回せる金額が増えることになる。長い目で見れば、年金資産に与える影響が大きくなるので、トータルの手数料と併せて確認していくことが大切だ。

③取扱い商品:個人型確定拠出年金の取扱い商品は、金融資産の種類や数は金融機関によって異なる。選ぶ際のポイントは、自分の望むポートフォリオが組めるような商品ラインナップになっているかどうかだ。自己責任の元、運用を行うため、手数料だけでなくどういった商品を扱っているかということには特に注目しよう。ポイントとしては、「株式・債券・不動産・定期預金・保険」、「国内・海外」がバランスよく揃えている金融機関が良いだろう。

武藤 貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーや執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。 FP Cafe 登録FP。

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