自動車販売(10月)
10月の自動車販売台数の伸び率(前年同月比)を見ると、台湾を除く国・地域が6ヵ月平均を上回るなど、引き続き持ち直しの動きが見られた(図表4)。
フィリピンは前年同月比+28.7%と、前月から0.7%ポイント低下したものの、23ヵ月連続の二桁増を記録した。また韓国は同+20.3%と、引き続き新車効果や個別消費税の引下げ(*1)が追い風となって上昇した。さらにインドは同+5.5%と祭事期に伴う需要増や金利引下げ効果を受けての3ヵ月ぶりの二増を記録した。
このほか、マレーシアは同+2.9%と、前月から鈍化したものの、リンギ安を背景とした先行きの値上げ観測を前に駆け込み需要が増加し、3ヵ月連続のプラスを記録した。
一方、台湾は同▲6.9%と、「鬼月」と呼ばれる消費の不需要期だった前月からマイナス幅は縮小したものの、先行きの自動車買い換え促進策を前に購入を控える動きが強かった。
またインドネシアは同▲16.1%と、昨年11月の燃料補助金削減や金利の高止まり、景気の先行き不透明感などが消費者の購買意欲の低下に繋がり、2ヵ月連続でマイナス幅が拡大した。さらにタイは同▲4.1%と、来年の物品税導入を前に消費者の購買意欲が増えてきているものの、30ヵ月連続のマイナスを記録した。
消費者物価指数(10月)
10月の消費者物価上昇率(前年同月比、以下CPI上昇率)は、昨年後半から続く資源価格下落による下押し圧力は後退し始めており、韓国・台湾・タイ・フィリピン・インドでは底打ちの動きが見られる(図表5)。
インドは祭事期に伴う消費需要の増加や昨年高騰していた食料品価格のベース効果の剥落、またモンスーン期(6-9月)の雨不足による一部食料品価格の高騰により2ヵ月連続で上昇した。またタイはエルニーニョ現象の長期化に伴う干ばつ被害を受けた生鮮食品の価格高騰も全体を押上げた。
一方、マレーシアとインドネシアは、イスラム教の断食明け大祭後の消費需要鈍化が続いたことや通貨下落圧力の後退などによって小幅に低下した。
金融政策(11月)
11月は、韓国・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピンの中央銀行で金融政策会合が開かれた。政策金利は全ての国で据え置きとなった。
インドネシアでは、17日の会合で政策金利(BIレート)を7.5%で維持することを決定した。インフレ率や経常収支などマクロ経済環境は安定に向かっているものの、中央銀行は米国の利上げを前に過度なルピア安を引き起こす恐れのある利下げに対して慎重になっている。
しかし、12月からルピア建の預金準備率を8.0%から7.5%に引き下げるとするなど、相次いで経済政策パッケージを打ち出す政府との協調姿勢を示した。