最近、AIのテクノロジーとして注目を集めている「ディープラーニング(深層学習)」は、人間の脳内の神経構造など情報処理の仕組みをマネて作られた「ニューラルネットワーク(神経回路)」をさまざまな形で活用している。脳内の多層化された神経回路をお手本に、階層的な推論をコンピュータに行わせる「機械学習(マシンラーニング)」の1つだ。

特に、ヒトの会話の意味を理解し、運用などをする自然言語を適切に処理できるAI技術の開発が実現できれば、人間ができる仕事のほとんどを自動化できるようになると言われている。人間が仕事をAIに奪われる時代も、そう遠くないかもしれない。

AIが駆逐する職業のリスト

2015年12月2日、野村総合研究所は、英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究の成果として、AIやロボット等で代替される確率の試算結果を、そうした背景のもとで、公表した。

同社らが試算したのは、国内の601種類の職業について。公開された情報によれば、10~20年後には国内労働人口の49%に当たる職業が、代替されてしまう可能性が高いという。

AIが代替できる可能性が高い仕事としては、事務員、生産オペレーター、組立工、作業員、警備員、配達員などがまずリストアップ。必ずしも特別な知識やスキルが求められない現場作業の仕事となっている。加えて、電気通信技術者、IT保守員、データ入力係、CADオペレーターなど、体系的操作が求められても、定型的な業務中心であればAIにこなせる公算も高いようだ。